一級品の走りが欲しいけどコスパは重要……そんなワガママさんに最適解!? 日欧300ps級ホットハッチ4台対決

■ホットハッチはますます高性能に!!

取材当日は気温30℃にも迫る、5月とは思えない真夏日のなか行った。陽炎が立ちのぼる気候のなか、ターボエンジン搭載のホットハッチからも熱いオーラが漂いまくりだ!!
取材当日は気温30℃にも迫る、5月とは思えない真夏日のなか行った。陽炎が立ちのぼる気候のなか、ターボエンジン搭載のホットハッチからも熱いオーラが漂いまくりだ!!

 ということで、今購入することのできるホットハッチを集めて試乗してみることにした。用意したのはホンダ シビックタイプR、ルノー メガーヌR.S.、トヨタ GRカローラ、それにフォルクスワーゲン ゴルフRの4台。

 シビックタイプRとメガーヌR.S.はFF、GRカローラとゴルフRが4WDとなっているが、パワーはいずれも300ps超、最大トルクも400Nm(40~42kgm)前後となった。

 意図的にパワーを揃えたわけではないが、実はこのくらいのパワーとトルクが速さと楽しさを両立できるちょうど手頃なスペックなのかもしれない。

 かつてスーパーカーブームのころ、キラ星のように輝いていた憧れのクルマたちは、例えばフェラーリ512BBが340ps、カウンタックLP400が375psだった。今やそれに近いパワースペックのクルマが簡単に手に入ってしまうのだ。

 現在のスーパーカーたちはNSXタイプSが610ps/68.0kgm、GT-R NISMOが600ps/66.4kgm。今や1000ps/100.0kgmクラスにも手が届く。もはや宇宙の話? というほど現実離れしている。

 実際のところ800psから1000ps級のクルマに乗って楽しいかというと、初めのうちは加速が楽しく刺激的に思えるが、だんだん苦痛になってくる。

 これだけのパワー&トルクのクルマを振り回すのにはそれなりの体力や筋力が必要で、楽しい領域を超えてしまっている。もっともそれも体験してみないと実感はないかもしれないけれど……。

 その点300ps/40.0kgm内外のパワーは加速の刺激や速さに驚き楽しみながら、充分に制御可能。ほとんどのクルマ好きなら最初はパワーに驚かされても、そのうちに体が慣れるはず。

 価格も今回集めたクルマは500万~600万円台。楽しくも刺激的なクルマが、安くはないけれど、まだなんとか手の届くところにあるのだ。

 もしかしたら自分にとって最後のICE車かもしれないという視点で改めて4台に乗ってみると、その完成度の高さに改めて感心させられた。次項からは、それぞれのクルマについてさらにその魅力に迫ってみよう。

■シビックタイプR vs メガーヌR.S.

ホンダ シビックタイプRと、ルノー メガーヌR.S.のガチ勝負!
ホンダ シビックタイプRと、ルノー メガーヌR.S.のガチ勝負!

 この2台は、ある意味究極のFFスポーツと言っていい。ドイツのニュルブルクリンク(ノルドシュライフェ)のFF最速の座をかけてしのぎを削っているのだ。

 速くしたいのであればパワーアップすればいいじゃないかと考えがちだが、FFなのでトラクション性能に限界があり、パワーがありすぎると無駄なホイールスピンをして姿勢を崩しタイムをロスするなど、いいことばかりではない。もちろん市販車という制約もある。それでホンダとルノーが出した答えが興味深い。

メガーヌR.S.は直列4気筒1.8Lターボで、シビックタイプRは2Lターボ。200ccの排気量の差が、アクセルを踏んだ瞬間のトルクの出方の微妙な差となって体感できるのだ。もちろん、どちらも超パワフルではあるが
メガーヌR.S.は直列4気筒1.8Lターボで、シビックタイプRは2Lターボ。200ccの排気量の差が、アクセルを踏んだ瞬間のトルクの出方の微妙な差となって体感できるのだ。もちろん、どちらも超パワフルではあるが

 シビックタイプRは2L直4ターボで330ps/42.8kgmを発揮。これに対してメガーヌR.S.(3ペダル6MT)は1.8L直4ターボで300ps/40.7kgmを発揮する。

 ちなみにメガーヌR.S.はEDC(=2ペダルセミAT)だと300ps/42.8kgmとトルクが大きく、ノルドシュライフェのラップタイムも速い。つまり、クラッチを踏むマニュアル操作よりも自動的にシフトアップするEDCのほうが(クルマ側での)パワーコントロールをより効率よくできるということなのだろう。

 エンジンは、小径サイズのターボをハイブーストで回しパワーを絞り出している印象。ただ、野放図にパワーを出しているわけではなく、1.8Lのターボエンジンが発揮する過渡領域のトルク特性を上手に使って無駄なくパワーを使い切っている、そんな風に感じた。

次ページは : ■操縦性のアプローチも異なる

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