【トヨタ2000GT、スカイライン…】最後の昭和ランキング クーペ&オープン編

■コスモ、初代Z、2000GTと、40年代車が上位。やはり当時のユーザーをときめかせたということでしょうか?

(TEXT:片岡英明)

 昭和40年代は、日本の自動車メーカーが自動車先進国である欧米に追いつき、追い越そうと頑張っていた時期だ。

 40年代になるのを前に名神高速道路が全通し、その数年後には東名高速道路も部分開通している。100km/hクルージングが可能になったが、そのためには高性能であることが要求された。

衝撃のスタイリング。42年生まれのコスモスポーツは全体で6位。片岡氏は1位に選出

 この目標に向かってエンジニアは情熱を傾け、わずか数年で最高速度200km/hをマークする高性能スポーツモデルを完成させている。

 そういう時代背景があるなか、コスモスポーツを1位としたのは世界で最初の2ローターロータリーエンジン搭載車だったからだ。試行錯誤を重ね、苦労の末に完成させた。日本が世界に誇る快挙だから1位に推した。

 2位は北米市場を席巻し、メイド・イン・ジャパンの優秀性を世界に知らしめたダットサン240Z(フェアレディZ)である。

日産フェアレディZ

 このクルマが登場するまで、日本車のイメージはあまりよくなかった。売れるのは安いクルマばかりだったのだ。が、Zの登場によって日本車の印象はグッとよくなり、今につながる躍進の起爆剤となっている。

 トヨタ2000GTも外国のクルマ好きを驚かせるのに充分な実力の持ち主だった。

■ハコスカ、初代Z、5代目シルビア……個人評価で日産勢が上位を占めた理由は?

(TEXT/国沢光宏)

 これはもう簡単なこと。当時キッチリと走るクルマといえば、日産車しかありませんでしたから。それくらい日産の技術、ズバ抜けてましたね。

 例えば1位のハコスカ。ライバルといえば事実上トヨタのみ。飛行機を開発してた技術者集団がクルマ作りをしていた日産は(プリンス自動車です)、まだスペースフレーム&リジットのリーフスプリングの時代に、4輪独立懸架式を採用。

 さらに4バルブのツインカムエンジンなども開発してしまった。圧倒的と言ってよかろう。“平成が終わる現代のクルマ”と比べたって負けていない。


日産スカイライン2000GT-R。愛称は“ハコスカ”

 初代フェアレディZもダントツ性能だった。ハッキリわかるのがアメリカ。世界中のクルマが集まってくるアメリカで爆発的なヒット作となったのを見てもわかるとおり、1960年代終わりから1970年代にかけ、Zよりコストパフォーマンスの高いスポーツモデルは皆無という状態。日本になどライバルいるワケないです。

 いずれにしろスポーツ&クーペといえば、誰が何といっても日産車でありましょう!

 さらに、それらのモデルより少し時代は遅れるけれど、S13シルビアのオシャレ度と走りのレベルときたら出色の出来。今でも人気です。

今回のランキングでは中位に甘んじてしまったが、こちらも国産クーペの名車のひとつ、ジウジアーロ・デザインのいすず 初代117クーペ

■AE86が低評価になった理由はなんだと思いますか?

(TEXT/御堀直嗣)

 AE86は、カローラ系最後のFRクーペで、“ドリキン”土屋圭市が、富士スピードウェイのレースで大活躍したり、漫画の「頭文字D」で一躍注目を集めたりし、伝説的一台となっているのはわかる。そして、トヨタからはその後、86という名のスポーツカーも誕生した。

トヨタ AE86トレノ<br>
トヨタ AE86トレノ

 しかし、昭和にはもっと刺激的で印象深いクルマがあったということである。また、“昭和車”はFR車であることが当たり前であり、FR車というだけで評価されることもなかった。それが、このランキングに現れている。

 もうひとつ、AE86は、当時のトヨタの新世代ツインカムエンジ4A-GEを搭載していたが、それを低めのギアレシオで走らせる作りであり、よほど気合を込めて峠を走り回るならまだしも、日常的な運転で走らせた際にはエンジン回転が高くなりすぎ、必ずしも心地よく移動できない側面があった。

MR2とともに高速周回路を駆け抜けるAE86トレノ

 高速道路で、もう1速、オーバードライブ的なギアがほしいと思った記憶が今なお生々しい。クルマの総合バランスの面で、減点対象となる側面があった。

次ページは : ■コンパーノスパイダーが2位、べレットが3位。これらを上位にした理由は?

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