まさかの超人気ロッキー/ライズでも不正!! 認証申請不正発覚から見えたダイハツの「危機感の甘さ」

■不正発覚後に見えたダイハツの甘さ

2023年4月28日の不正発覚の対象車種中、8万6000台以上と最も大きな販売規模であったヤリス エイティブ。新興国向けの小型セダンで、生産国はタイおよびマレーシアとなっている
2023年4月28日の不正発覚の対象車種中、8万6000台以上と最も大きな販売規模であったヤリス エイティブ。新興国向けの小型セダンで、生産国はタイおよびマレーシアとなっている

「ダイハツよ、何をやっているのか」というのが、一連のダイハツの認証不正の受けとめだった。ダイハツと言えば唯一、関西の大阪に本拠を置き、その歴史も1907(明治40)年に発動機製造として創立しその後、大阪発動機に社名変更してダイハツブランドとなった由緒ある自動車メーカーだ。

 1951年に現在のダイハツ工業となり、その後1967年にトヨタ自動車工業と業務提携し、1998年にトヨタが51.25%の株式を取得してトヨタの連結子会社に。2016年にトヨタ100%株式取得による完全子会社となった経緯がある。

 言わばトヨタの「軍門」に下ったダイハツだが、小さいクルマづくりへの「良品廉価」を社是としてトヨタでも立ち入れない領域で確固たる地歩を築いてきた。

 国内では、あの鈴木修氏率いるスズキをも抜いて軽自動車トップを確保し、ASEAN地域ではインドネシア、マレーシアでダイハツブランドの強さを形成した。

 トヨタもグループでのダイハツの位置づけを重視して2017年1月に社内カンパニーのひとつ「新興国小型車カンパニー」を、ダイハツの良品廉価なモノづくりをベースとした競争力ある商品展開を目的として設立。

 開発・生産・調達は基本的にダイハツに一本化され、トヨタは側面からサポートする体制となっていた。それだけ、トヨタはダイハツを信頼していたのだ。

 それが今回、ダイハツ内部告発から東南アジアでの認証不正が発覚。5月連休直前に奥平総一郎ダイハツ工業社長が謝罪会見を行ったが、ダイハツサイドの危機感の薄さ、甘さが感じられた。

 むしろ、トヨタのほうが豊田章男会長がタイ現地でダイハツの不正行為について改めて陳謝して「トヨタグループ全体の問題として先頭に立って信頼回復に努める」と、危機感の強さを示した。

不正が続いたことで販売現場への影響は避けられない。再発防止対策を徹底し、ユーザーの信頼回復が急務だ
不正が続いたことで販売現場への影響は避けられない。再発防止対策を徹底し、ユーザーの信頼回復が急務だ

 ダイハツは海外向けだけでなく、国内向けでも安全性認証不正が見つかり、ダイハツの体質を問う厳しい声が相次いでいる。

 もともとトヨタより歴史が古くプライドも高いダイハツ内部では、トヨタ完全子会社化の後からトップ以下幹部クラスがトヨタから天下りしてくることへの反発もあったようだ。現在の奥平社長もトヨタ時代は10代目カローラ開発責任者を務めるなど、佐藤恒治トヨタ新社長にとって“大先輩”にあたる。

 おりしもエンジン不正問題で苦境にあったトヨタグループの商用車分野の日野自動車が、独ダイムラートラック傘下の三菱ふそうトラック・バスと統合することが突然、発表された。

 50.1%出資の連結子会社である日野自をトヨタが支えきれないとして決断したようだが、ダイハツのケースもスズキとの統合があるか予断を許さない状況だ。

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【続報】2023年5月31日、ダイハツは今回の認証申請の不正を受け、開発と法規認証の体制見直しを発表した。

 ダイハツは衝突安全分野において性能開発・評価・認証の一連の流れを、ひとつの室の中で担当しており、チェック機能が働かなかったことが不正の原因のひとつと推定し、開発部門において性能開発・評価・認証の各機能を分離。

 客観性を要する認証機能については開発部門から独立させ、品質保証部門とともに新たな本部組織へと改変するとして、全社的な品質マネジメント機能体制を強化するとしている。

【画像ギャラリー】試験不正が発覚したダイハツ ロッキー/トヨタ ライズ ハイブリッド車(22枚)画像ギャラリー

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