■個人評価も全体でも初代シビックと5代目ファミリアのワン・ツー。順当な結果ですか?
(TEXT/国沢光宏)
日本におけるハッチバックの歴史を作ったのは、誰が何と言おうとシビックである。シビックの面白さを挙げるなら、その時点でのヒエラルキー(階層)に属さないクルマだったという点でしょう。
当時の階層ピラミッドを見ると、お金持ちはアメ車。次の層がクラウン。そしてコロナ、カローラ、パブリカになっていく。
けれどシビックって階層ピラミッドに含まれない。平成時代のオデッセイやCR-Vのような存在だったワケ。お金持ちも喜んで新しい風を感じるシビックに乗った。
5代目のFFファミリアも爽やかな風を吹かせたと思う。セダンとスポーツクーペしか存在しなかった日本の自動車ラインナップに当てはまらない「新しい価値観のシビック」のような存在になる。
当時大いに話題となったVWゴルフのような合理性と、サンルーフに代表される遊び心のバランスが素晴らしい。ファミリアに憧れなかった若い人はいなかったんじゃなかろうか。学生時代、雑誌の依頼を受け最初にレポート書いたのがファミリアでした。
■3位を初代アコードにした理由は?
(TEXT/御堀直嗣)
アコード以外のハッチバック車は、どれも元気で活発に走る2ボックスカーとしての魅力にあふれている。
一方、アコードは、それらとやや趣の異なるハッチバック車ではないだろうか。
当時も、ハッチバックといえば、実用的で手の届きやすい価格で販売される身近なクルマの位置づけだった。しかしアコードは、より上質で上級さを伝えるハッチバック車であった。
簡単にいえば、その外観の造形を含め、お洒落で優雅なハッチバック車だったのである。これで、アコードというクルマの価値が決まったともいえるのではないか。
運転免許証を取得したら、シビックに乗ろう。そして、いずれ大人になったらアコードに乗れる人になりたい。
ホンダが、かつてテレビ広告で流していた「素晴らしき人ホンダに乗る」という言葉どおり、自分が素敵な人になれるような気にさせるハッチバック車が、初代アコードだったのである。
■今も人気のスターレットKP61より、初代ミラージュが2位、4代目ファミリアが3位と評価が上の理由は?
(TEXT/片岡英明)
初代ミラージュは、今につながる横置きエンジンにトランスミッションを組み合わせたFF方式を採用し、パッケージングも絶妙だった。
デザインは今見ても美しい。時代に先駆けてプレスドアを採用し、空力性能も優秀だ。
しかも4速MTにはハイ/ローの副変速機を備えたスーパーシフトを採用し、スポーティにもエコにも走ることができる。
また、初代シビックやKP61系のスターレットは簡易型のセミオートマだったが、ミラージュは上級クラスと同じ本格派の3速ATをおごっていた。
これに続くマツダのファミリアも、ミラージュと同じように今につながるFFのレイアウトだ。
こちらもサスペンションは4輪独立懸架だし、VWゴルフを徹底的に研究したからハンドリングも軽やかだった。また、ラウンジシートや電動サンルーフなどを採用し、“丘サーファー”などの流行も生み出している。
後世に与えた影響は、前時代的なスターレットよりはるかに大きいから上位なのだ。
コメント
コメントの使い方