プッシュ式スタートスイッチすら消える時代が…来る? 来ない? 便利?? 物理スイッチはなんのためにある??

ただ、これが業界スタンダードとなることは考えにくい

 ただ、これが主流になってくるかというと、現時点ではなかなか難しいと考える。その最大の理由は、トヨタの動向だ。

 近年のトヨタ車は、スタートスイッチをかなり目立つ位置に配置している。先日新型が登場した大人気ミニバン「アルファード」/「ヴェルファイア」も、運転席前にあるメーターフードの左上、インフォモニターとの間の目立つ場所に配置されている。

 トヨタは、2009年に北米で起きた暴走事故(ハイウェイを走行中に突如速度制御が不能となったことで、乗っていた4人全員死亡。原因は2枚敷きしたフロアマットの上側がずれてアクセルペダルに引っかかったことだったが、トヨタは遺族に10ミリオンドル(当時価格で10億円)もの和解金を支払うこととなった)をきっかけに、万が一、走行中に何らかの要因でクルマが暴走した場合、助手席側からでもすぐにエンジンをストップできるよう、車両中心側の目立つ位置に、スタートスイッチを必ず置くようにしているという。

 目立つ位置に配置しているほど慎重になっているスタートスイッチをなくすようなことは、トヨタはやってこないはず。クルマメーカーとしては、安全性能は何よりも優先したいもの。トヨタがやってくれば、業界スタンダードとして定着する可能性はあるが、トヨタが採用する可能性が低いことから、スタートスイッチレスがスタンダードとなることは(少なくともしばらくは)考えにくいだろう。

新型アルファードのインテリア。メーターフードの左上、インフォモニターとの間の目立つ場所に配置されており、助手席側からでも手が届く
新型アルファードのインテリア。メーターフードの左上、インフォモニターとの間の目立つ場所に配置されており、助手席側からでも手が届く

スイッチは無くさないほうがよいこともある

 近年は、カーエアコンの設定スイッチなどが、液晶パネルのなかに取り込まれているクルマもある。ゴテゴテしたスイッチ類がなくなることで、インテリアは先進的ですっきりするのだが(材料コストも下げられる)、操作性はイマイチと感じることが多い。走行中の揺れる車内で、前を向いたまま、なんの凹凸もない液晶画面にタッチで温度調節などできるはずがなく、音声やジェスチャーで操作できるといっても、やはり手で操作したほうが早かったりもする。

 ただしこれは、ユーザーによって意見が分かれるところかもしれない。実際、エアコンの設定スイッチのタッチパネル化については反対の筆者だが、今回のID.4のプッシュ式スタートスイッチ「レス化」は、使い勝手、デザイン性などの面でよい印象だった。ただ、トヨタの動向も考慮すると、今後、他のメーカーが追従してくるのかは微妙なところだと思う。メーカーの個性が現れた、新しい形のスタートスイッチが出てくることを期待したい。

【画像ギャラリー】スタートスイッチが…ない!??  ブレーキを踏んでシフトを操作することで走行が可能となる、フォルクスワーゲンの「ID.4」(12枚)画像ギャラリー

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