■売れない理由2:主力グレードのエアーに装着される装備が貧弱
現行ステップワゴンは、約30%のユーザーを狙って、フロントマスクを穏やかな表情で仕上げた。このコンセプトを明確に反映させたグレードは、エアロパーツを装着した「スパーダ」ではなく、外観がさらに柔和な「エア」だ。
そこで現行ステップワゴンのデザインに賛同したユーザーが、エアを選ぼうとすると、装備に不満が生じる。後方の並走車両を検知して知らせる安全装備のブラインドスポットインフォメーション、LEDアクティブコーナリングライト、前席のシートヒーター、2列目のオットマン、電動開閉式テールゲートなどはスパーダ系のグレードには標準装着されるのに、エアーではオプションでも選べないからだ。
このうち、ブラインドスポットインフォメーションは、ボディ後端の形状が異なるからエアには搭載できなかった。スパーダならブラインドスポットインフォメーションのユニットがボディの後端に収まるが、エアーには入らなかった事情がある。
しかし、それ以外の前席シートヒーターや2列目のオットマンも、リラックスできるステップワゴンのデザインコンセプトと親和性の高い装備だ。エアにこれらを装着できないのは辛い。ステップワゴンエアーの個性に共感してもらえても、魅力的な装備を装着できないために、ユーザーを逃している。
開発者は「最初の考えでは、エアとスパーダには、同等の装備を採用して価格も同程度にするつもりだった」と振り返る。その考え方を貫くべきだった。次のマイナーチェンジ、あるいは特別仕様車でもいいから、エアはステップワゴンを象徴するグレードとして早急に装備を充実させるべきだ。
■売れない理由3:ライバル車に比べて注目される機能や装備が乏しい
ステップワゴンは床の低いボディを生かして、走行安定性や乗り心地が優れている。16インチタイヤ装着車の最小回転半径は5.4mだから小回りが利き、視界もいいから混雑した街中や駐車場でも運転しやすい。
これらはライバル車に対するメリットだが、注目される派手な機能や装備は乏しい。例えば、ノア&ヴォクシーには車両が接近すると、スライドドアの作動を止めて乗降時の事故を防ぐ安全装備が採用される。
渋滞時にはステアリングホイールから手を離しても運転支援が受けられたり、スマートフォンを使って車外から車庫入れできたりする機能もある。
セレナはシートアレンジが多彩で、2列目の中央を1列目の間までスライドできる。この状態では1列目の中央が収納設備になり、2列目の間には通路ができて車内の移動もしやすい。
最上級のe-POWERルキシオンには、高度な運転支援機能のプロパイロット2.0も採用した。ステップワゴンには、このような注目される機能や装備がなく、販売面でも不利になっている。
■売れない理由4:ライバル車と比べてボディが大きすぎる
先代型の標準ボディは5ナンバー車だったが、現行型はボディを大幅に拡大させて3ナンバー専用車になった。全長はエアが4800mm、スパーダは4830mmで、全幅は両タイプとも1750mmだ。
ライバル車の全長は、ノア&ヴォクシーがエアロ仕様を含めて4690mm、セレナは標準ボディが4690mmでハイウェイスターが4765mmだから、ステップワゴンの4800mm/4830mmはやはり長い。
小回りの利きはいいが、多くのユーザーはボディサイズを気にするから、販売面で不利になった。
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