日産もベンツもこぞって採用! テスラの急速充電規格はなんでそんなにモテるのか?

■テスラの向こうに見え隠れするアメリカの戦略

登場はCHAdeMOよりも後だったが、明確に「CHAdeMO排除」を打ち出しながら参入してきたのがCCS(コンバインド・チャージング・システム)規格だ(Longfin Media@AdobeStock)
登場はCHAdeMOよりも後だったが、明確に「CHAdeMO排除」を打ち出しながら参入してきたのがCCS(コンバインド・チャージング・システム)規格だ(Longfin Media@AdobeStock)

 CCSについては、米DOE(エネルギー省)傘下のアルゴンヌ国立研究所が開発した。 その成果を基に、欧米での電力配給状況を応じて、欧州向けには2013年にEUR-COMBO CCS2を、また北米向けには2014年にUS-COMBO CCS1を採用した。

 その後、世界各地での電動車関連の国際会議やシンポジウムを取材してきたが、欧米メーカーのチャデモへの対抗意識が鎮まる気配を感じることはできなかった。
 
 一方、中国は2000年代から国策として電動車普及を目指した充電規格を模索し、GB/T(現在のGB)規格による国内統一を2013年から進めた。

 また、2020年にはチャデモとGB/T(当時)との連携を視野に入れた、ChaoJi(チャオジ)規格が日中の間で協議され、その概要が明らかになった。チャオジとしては、チャデモのほかGB/T(当時)やCCSとの互換性や調和を目指すとした。

 だが、2023年時点でチャオジについて、日本と欧州の充電器メーカー関係者は「今後の方向性が不透明な状況」という見解を示している。

 そうした状況で、北米市場においてはテスラがNACSと銘打ち、デファクトスタンダードを仕掛けたのだ。

 バイデン政権は2022年8月、アメリカ国内でのBEV生産に向けた投資を促すことにつながるIRA(インフレ抑制法)を施行しており、BEV普及には現状で最も販売台数が多いBEVメーカーであるテスラの意向を後押しすることで、アメリカがBEV先進国になる道筋を明確にしたいという狙いが見え隠れする。

 こうした、欧米中での政治的な駆け引きの中で、チャデモは今後どのように立ち振る舞っていくのか? その動向を注視する必要があろう。

【画像ギャラリー】充電規格を制するものはBEVを制する!? NACS式を採用するテスラの急速充電器「スーパーチャージャー」(16枚)画像ギャラリー

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