デリカミニになんで続かないのよ!! 新型N-BOXにSUV風モデルを設定しなかったワケ

■ただでさえ来年アタマ納車!! 追加すれば納期さらに延長……

6年ぶりのフルモデルチェンジとあって注目度もバツグン!! そう今注文が殺到しているのだ
6年ぶりのフルモデルチェンジとあって注目度もバツグン!! そう今注文が殺到しているのだ

 この流れを考えると、新型N-BOXにもSUV風のモデルが用意されて当然と思えるが、実際には用意されていない。この背景には複数の理由がある。

 まずは納期の問題。N-BOXはフルモデルチェンジを直前に控えた2023年1~7月でも、国内のベストセラーだった。

 従来型からの乗り替え需要も多く、バリエーションを増やすと、納期が大幅に延びることが心配される。

 2023年8月下旬にホンダの販売店に尋ねると、「新型N-BOXは現在の先行予約受注でも、多くの注文をいただいている。そのために8月下旬に契約されても、納車は年末から年明けになりそうだ。10月には販売店に試乗車が入って販売促進も本格化するから、納期がさらに延びることも考えられる」。

 このような状態だから、仮に新型N-BOXにSUV風のモデルが予定されていても、発売時点では用意しないのだった。

 要するに納期を長引かせる原因になってしまうのだ。投入するとしても、売れ行きと納期が落ち着いた頃になる。

 ちなみに新型アルファード&ヴェルファイアも、上級グレードに限定して発売された。それでも納期が1年以上に遅延して、受注を停止させた販売会社が多い。

■SUV追加すると目的達成せず!? コスト削減が新型N-BOXの目的だった

フル液晶メーターは一見高価と思えるが、じつは物理メーターよりもコストを抑えられるというメリットも!!
フル液晶メーターは一見高価と思えるが、じつは物理メーターよりもコストを抑えられるというメリットも!!

 新型N-BOXがSUV風のモデルを用意しない2つ目の理由はコストの低減だ。

 ホンダの社内からは「先代N-BOXは開発と製造関連のコストが高く、大量に売られる割に利益が少ない」という話が聞かれる。2023年上半期(1~6月)の売れ行きを見ると、国内で新車として売られたホンダ車の40%がN-BOXであった。

 膨大に売られるN-BOXの利益が少ないと、国内の業績にも良くない影響を与える。つまり新型N-BOXを投入する目的には、1台当たりの利益を高めることも含まれる。

 そのために新型N-BOXは、エンジンからプラットフォームまで、先代型を踏襲して開発された。前後席の間隔など、シートの基本的な配置も先代型と同じだ。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)の数値も、おそらく変更されない。

 メカニズムについても、マイルドタイプを含めてハイブリッドは用意されず、安全装備も、近距離衝突軽減ブレーキや急アクセル抑制機能が加わる程度だ。

 新たに採用されたデジタルメーターは、開発と製造の仕方によっては、従来のアナログメーターよりもコストを安く抑えられる。

 ボディパネルやインパネの形状は刷新して、後席の座り心地なども改善したが、そのほかはコストを低減できる内容になっている。

 新型N-BOXの開発テーマに、コスト低減があったとすれば、SUV風のモデルの設定は逆行するから見送られたというワケ。

 またホンダは、既にSUV風のモデルとしてフリードクロスターとフィットクロスターを用意するが、この2タイプは販売面であまり成功していない。

 そのためにステップワゴンに、クロスターに準じたグレードはなく、新型N-BOXもSUV風のモデルを設定しなかったと考えられる。

■ライバルに続かず!? 新型N-BOX独自の派生モデル検討中か

 このほか開発者は「新型N-BOXでは、威圧感の伴うフロントマスクは採用したくなかった」と述べている。

 そのために標準ボディのフロントマスクは、シンプルな家電製品をモチーフに、細かな穴の空いたデザインとした。

 カスタムも含めてメッキパーツの使用を抑えている。SUV風のフロントマスクは、このデザインコンセプトに合わないと判断された可能性もある。

 そしてホンダは、以前からライバル車の後追いを嫌う。仮に標準ボディとカスタムに続く3つ目のモデルを加えるとしても、タントファンクロスやスペーシアギアのようなSUV風とは違うタイプを考えているかも知れない。

 以上のように、新型N-BOXがSUV風のモデルを用意しなかった背景には、昨今の納期問題から新型に課せられるコスト低減、新型のデザインコンセプトまで、いろいろな事柄な影響を与えている。

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