■インテリア対決は引き分けか?
続いてインテリアを見ていこう。いずれも最上級グレードでは、本革とウルトラスエードのコンビシートとなるのは共通だが、カラーコーディネートが異なる。GR86 RZの場合、撮影車のようなレッドトリムの選択が可能。
同仕様では、フロアカーペットとドアトリムが赤となり、シート中央のレッドストライプが映え、かなりレーシーな雰囲気だ。さらにブラックも選べる。その仕様では、シートのストライプがシルバーに変更される。この組み合わせは、GR86専用だ。いずれもステアリングには、GRエンブレムが装着される。
続いて、BRZのトリムカラーはブラックのみに。ただし、各部のステッチとシートのストライプはGR86の赤仕様となる。意外だったのは、赤をアクセント程度に留めたBRZでもスポーティな雰囲気に仕上がっていたことだ。
内側にさり気なく、スポーツカームードを高めるのは、江戸時代に羽織の裏地を豪華にして、お洒落を楽しんだ「裏勝り」に通じるものがある。その点は、少しスペシャルティかも。
インテリア対決は、同仕様同士だとBRZの勝ちだが、ブラック/シルバーアクセントのカラーも用意するGR86の心意気も評価し、引き分けとしたい。
■肝心の走り対決はどうだ……?
最後が走り。先代となる初代86/BRZも差別化を図るべく、足回りは異なる仕様としたが、磨き上げの結果、最終仕様は共通となっていた。しかし、「GR」の名が冠されたことで、ブランドのイメージに合わせ、GR86の足を再び専用化している。違いを下記の表にまとめてみた。
表からは、足回りとエンジン特性がそれぞれ専用化されていることがわかる。さらにアクセル特性は、トランスミッションで違いがある。MTだとそれぞれに専用化されているが、モード切替を持つATでは共通化されており、双方の走りの違いがわかりやすくなっているのだ。
GR86の感想をひと言でまとめると、「どこまでもスポーツカーであろうとする」だ。印象的なのが、リアの動きだ。後輪の自由度が高く、リヤのトランクションの変化も強く感じられる。
公道でも、アクセルコントロールで姿勢が作りやすいと感じるほどだ。だから、アクセルを踏むシーンの判断がしやすく、スポーティな走りが楽しみやすい。また、BRZと仕様は同じであるが、AT自体もスポーツATに鍛えられており、アクセル開度が大きいと高回転まで引っ張ってくれる。
ただ、ステアリングが重めで、室内への走行音の侵入も大きいというスパルタンな一面も見せた。
対するBRZは、絶対的安定感のある走りだ。FRらしい後輪を蹴る走りは楽しめるが、常に4輪のトランクションが安定しており、リアの動きにも落ち着きがある。スバルの「より遠くに、より安全に」というグランドツーリング思想を思い出せる味でもある。
ただ、電動パワステはほかのスバル車と比べると重めで、より繊細なコントロールも可能としている。このため、脇を締めてしっかりとステアリングをホールドするドラポジとなるため、シフト操作などの片手運転のシーンがあるMT車だとステアリング特性に慣れるまで、肩の力が入りすぎるように思える。
しかし、AT車の場合はパドルシフトがあるため、基本的にはステアリングを両手でホールドできるので、その重さも気にならない。そして、GR86よりも少しマイルドな特性のようでもある。だから、AT車だとシーンや乗り方に合わせて、スポーツカーや大人の2ドアクーペへと切り替えることもできる。
もちろん、MT車と比べると、さらに誰でも運転しやすいという仕様を意識している点も見過ごせない。ただ、誤解してはいけないのは、コントロールのしやすさやスポーツATのおかげで、ラップタイプではMT車を凌ぐことさえあり、スポーツカーとしての実力も高い。
ということで走りの評価は、BRZの勝ちとしたい。意外な発見だったのが、車内への音の侵入は、BRZのほうが少ないこと。静かとは言わないが、快適性や会話のしやすさはBRZのほうが断然よかった。この点もスペシャルティカーとしては重要だ。
コメント
コメントの使い方どっちでもいいだろ
小さな差異で大きな違いを実現してるといっても、どちらも間違いなく名車でしょ。
後からでも交換できるし、まず所有して堪能してから、自分なりに染めていけばいいのでは?
自分と共に成長・変化していける、純正ママに拘るのは勿体ない真のスポーツカーというレベルに居るでしょこれ