ヘッドライトを1~2回点滅させて周囲のドライバーに合図を送る「パッシング」。右折待ちをしているとき、対向直進車が速度を緩めながらパッシングで「いっていいよ」と合図してくれた経験は、ドライバーならば1度や2度はあるのではないでしょうか。
ただパッシングは、他の合図としても使われることから、ドライバー同士の意思疎通がうまくいかないと、トラブルに繋がってしまうことも。パッシングの使い方、そしてドライバー同士のコミュニケ―ション方法について、考えてみましょう。
文:吉川賢一
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パッシングが原因で書類送検される事態に至った例も
2019年1月、大阪府で、大型セダンに乗る61歳の男が、あおり運転と暴行の容疑で、書類送検されました。後ろを走行していた軽自動車の男性に対し、約450メートルにわたって急ブレーキを繰り返すあおり運転をしたうえ、赤信号で停車すると、男は車を飛び降りて、軽を運転していた男性の胸ぐらを掴みにかかったといいます。その原因がパッシングでした。
警察によると、男の大型セダンは店から道路へと急に飛び出し、それに驚いた軽自動車の男性がパッシング。これに逆ギレした大型セダンの男は、上記の暴走と暴行行為に及んだそう。当時の詳細な状況はわからないですが、飛び出した大型セダンが悪かったとしても、パッシングが必要だったのかは、ドライバーとして考えさせられるものがあります。
道を譲るときのほか、「この先注意して走ってね」の意味でも
ただ、冒頭で触れた右折待ちをしているときの対向直進車の「いっていいよ」のように、ドライバー同士の距離がそれなりにあるなかでコミュニケーションをとることができるパッシングは、便利なコミュニケーションツールのひとつ。勘違いをしないためにも知っておきたい、よく使われるパッシングによる合図の意味と注意点をいくつかご紹介します。
●直進車が対向の右折待ち車に道を譲るとき
先ほどから取り上げている、パッシングによる合図の代表的な使い方ですね。右折待ちをしていて、対向車のパッシングが見えたら、迷惑かけないように素早く右折を…と考えるところですが、そのパッシングが本当に「いっていいよ」なのかを見極めるため、相手のクルマが減速しているか(もしくは譲ろうとしているのか)も合わせて確認したいところです。また、合図を送ってくれたクルマの影から出てくる可能性があるバイクや自転車にも注意が必要。自身が対向右折待ち車に道を譲る際も、自車の左脇にバイクや自転車がいないか確認したいものです。
パッシングで合図を送ってくれたクルマに対して、パッシングで「ありがとう」を返すドライバーもいますが、これから右折をするドライバーが優先するべきは安全確認。余裕がない場合には返す必要はなく、譲ってくれたドライバーのためにも、対向を直進するバイクや自転車、歩行者に、全力で注意を払うようにしてください。
ちなみに、大型トラックがハイビームを付けながら信号が赤に切り替わろうとする瞬間にも直進していくのは、大型トラックは乗用車よりもスピードが落ちにくいため。ハイビームは「減速しても停止線で止まれないので直進します」という合図だそうです。同じ理由で、大型トラックは、まだ直進できそうな(信号の)タイミングでも停止し、パッシングで対向右折待ち車に「いっていいよ」を合図してくれることもあります。
●狭い道でのすれ違いで道を譲るとき
こちらも道を譲るという意味では、右折待ちの際と同じ合図です。対向車とのすれ違いが困難な狭い道で対向車を確認した際は、適切な場所を見極めて停止し、パッシングで「どうぞ」という合図を送ります。この場合は、すれ違う時にもハンドサインを送れば、さらに気持ちのいいコミュニケーションとなりますね。
●警察の取り締まりや、落下物があることを伝えるとき
走行中のクルマが、対向車線を走るクルマに「この先で警察が(速度超過の)取り締まりをやってるよ」というのを教えてくれる合図としても、パッシングは使われます。昨今は以前に比べて、パッシングで教えてくれるクルマは減りましたが、いまでもたまに見かけます。落下物があるときなどもパッシングで教えてくれるなど、「この先危険だから、注意して走ってね!!」という意味でも使われていました。
コメント
コメントの使い方>大型トラックがハイビームを付けながら信号が赤に切り替わろうとする瞬間にも直進していくのは、大型トラックは乗用車よりもスピードが落ちにくいため。
極めて危険な行為を「仕方のないこと」的な話にするのはどうかと思います。大型車でも速度違反せず交差点手前で信号みているなら黄色信号でブレーキ踏めば赤で通過することなく楽にとまれる。速度違反をするから黄色の間に停止線前でとまれず赤で特攻になる。