今をときめくノートオーラの成功は過去の先達にあった! ベリーサにプログレ……「小さい高級車」に挑んだ物語

■チョッパードルーフが特徴的な個性派、ホンダN-BOXスラッシュ(2014年)

N-BOXスラッシュ。初代N-BOXベースのスペシャルティモデルだったが、2代目N-BOXでは設定されなかった
N-BOXスラッシュ。初代N-BOXベースのスペシャルティモデルだったが、2代目N-BOXでは設定されなかった

 N-BOXスラッシュは軽スーパーハイトワゴンの初代N-BOXをベースに、全高を軽ハイトワゴンレベルに下げると同時に、ルーフラインがボディ後方に向かうに従って下がるクーペルックとしたスペシャルティなキャラクターも持つモデルだった。

 スペシャルティな雰囲気を持つのはインテリアも同様で、米国カリフォルニアの街道沿いのレストランをイメージした赤いシートを持つダイナーなど、雰囲気の明るいものからシックなものまで豊富に設定した。

N-BOXスラッシュのインテリア。ポップな雰囲気のレッドカラーが印象的な「ダイナー」
N-BOXスラッシュのインテリア。ポップな雰囲気のレッドカラーが印象的な「ダイナー」

 スペシャルティなキャラクターが先行しがちなN-BOXスラッシュだが、乗ってみると軽乗用車でありながら静かかつ重厚な乗り心地を持つのに加え、機能的な装備も電動パーキングブレーキやハンドルの重さを調整する機能も装着。

 さらにメーカーオプションのオーディオがそれほど高価なものではないのにもかかわらず、オーディオ自体に加えデットニング(防振)も行っている効果もあり、ボリューム全開で聞き続けられるという素晴らしいものだった。

 といったことを総合すると、N-BOXスラッシュは軽乗用車ながら小さな高級車と呼ぶのにふさわしい素性を持った魅力的な軽乗用車だったと断言できる。

1代かぎりで終了してしまったのが惜しまれるN-BOXスラッシュ
1代かぎりで終了してしまったのが惜しまれるN-BOXスラッシュ

 しかし、N-BOXスラッシュはN-BOXの強烈な存在感の前では埋もれてしまったことが原因だったのか、N-BOXが2代目モデルになったあとも継続生産されていたものの、現行型2代目N-ONEを後継車にするように一代かぎりで絶版となった。

 N-BOXスラッシュの絶版はやむを得なかったとも思うが、現行N-BOXが軽ハイトワゴンとしては高価なのを見ると、どうせ高価なのであれば現行N-ONEにN-BOXスラッシュの系譜を受け継いだモデルがあれば、N-BOXスラッシュも救われたように感じるのは筆者だけだろうか。

■やはり先達はデビューが早すぎたのだろうか?

ノートオーラの成功によって「小さな高級車」の存在が改めてクローズアップされてくるのだろうか?
ノートオーラの成功によって「小さな高級車」の存在が改めてクローズアップされてくるのだろうか?

 ここでピックアップしなかったモデルを含め、小さな高級車を目指した日本車たちは意欲的なものが多かった。それでもノートオーラまで大成功例がなかったのは日本の人口ピラミッドの変化を含めて「出るのが早すぎた」ということが大きいのだろう。

 それだけに日本車の小さな高級車がようやく成功を収め始めたことには、志半ばで絶版となった先輩たちも喜んでいるに違いない。

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