今をときめくノートオーラの成功は過去の先達にあった! ベリーサにプログレ……「小さい高級車」に挑んだ物語

■5ナンバーサイズでの高級車を目指したトヨタプログレ(1998年)&ブレビス(2001年)

2代目アリストやアルテッツァと同じFRプラットフォームを採用していたが、実質5ナンバーサイズとして用意されたセダンがプログレだった
2代目アリストやアルテッツァと同じFRプラットフォームを採用していたが、実質5ナンバーサイズとして用意されたセダンがプログレだった

 プログレはトヨタが長年温めていた小さな高級車を具現化したモデルである。成り立ちは前年に登場した2代目アリストや同時期に登場したアルテッツァなども使う当時としてはトヨタ最新のFRプラットフォームに、2.5Lと3Lの直6NAを搭載するというオーソドックスなものだった。

 しかし、プログレの全体的なクォリティは当時のクラウンをも凌ぐセルシオ級で、それでいてボディサイズは実質5ナンバーサイズとなる全長4500×全幅1700mmと、今のところ日本車では最も小さな高級車らしいと言えるモデルだった。

 プログレは価格も登場時は全グレード300万円台と内容を考えればリーズナブルだったにもかかわらず、当時のユーザーにはクラウンやマークII3兄弟のようなわかりやすさに欠けていた点やクセのあるフロントマスクが原因だったのか、販売面では今一歩だった。

プログレの兄弟車的ポジションとしてトヨタ店で販売されていたブレビス
プログレの兄弟車的ポジションとしてトヨタ店で販売されていたブレビス

 ブレビスはトヨペット店扱いだったプログレに対し、トヨタ店扱いとなる兄弟車だった。同時期に登場した3代目セルシオを思わせるエクステリアに加え、後発らしく機能面でもドライビングポジションをペダルが動くことでも調整できる機能を備えていた。

 クルマ自体の完成度はプログレ以上だったと言える。それでもブレビスもプログレ同様わかりにくさが原因だったのか販売は振るわず、両車とも直接的な後継車はなく一代で姿を消した。

■3.5LV6まで搭載したトヨタブレイド(2006年)

初代オーリスの上級モデルとしての位置づけだったブレイド。写真は直4、2.4LDOHCを搭載したモデル
初代オーリスの上級モデルとしての位置づけだったブレイド。写真は直4、2.4LDOHCを搭載したモデル

 現在のカローラスポーツの前身となるオーリスの初代モデルをグレードアップした兄弟車で、扱いディーラーがトヨタ店とトヨペット店だったこともあり、プログレ&ブレビスの後継車的なポジションも感じさせるモデルだった。

 ブレイドの初代オーリスに対するグレードアップの手法は直4NAの1.5Lと1.8Lを搭載していたオーリスに対し、エンジンをNAの2.4L直4と「マスター」というグレード名を持つ3.5LV6の搭載、リアサスペンションをトーションビームだったオーリスに対してダブルウィッシュボーンに変更し、内外装を変更したといったものだった。

こちらはブレイドの最上級グレードとなるマスターG。V6の3.5LDOHCを搭載し、当時のVWゴルフR32を意識していた部分もあり?
こちらはブレイドの最上級グレードとなるマスターG。V6の3.5LDOHCを搭載し、当時のVWゴルフR32を意識していた部分もあり?

 ブレイドの仕上がりは小さな高級車と見ても納得できる良好なものだったが、販売は低調に終わった。その理由としてはかつて小さな高級車を目指したモデルたち同様のわかりにくさがまずひとつ。

ブレイドマスターが搭載していたV6、3.5LDOHCは最高出力280psを発揮。当時、国産ホットハッチとして注目を浴びたモデルだったが……
ブレイドマスターが搭載していたV6、3.5LDOHCは最高出力280psを発揮。当時、国産ホットハッチとして注目を浴びたモデルだったが……

 さらに、扱いディーラーのトヨタ店とトヨペット店では、当時登場から時間がそれなりに経ちながらも強いインパクトを保っていた2代目プリウスという強力なライバルがあったことも大きかったと思われる。

■2代目デミオを上質に仕立てたマツダベリーサ(2004年)

ベリーサは2代目デミオをベースにしながら各所を上質に仕立て、上級コンパクトモデルとして登場した
ベリーサは2代目デミオをベースにしながら各所を上質に仕立て、上級コンパクトモデルとして登場した

 ベリーサは2代目デミオのボディサイズを若干拡大するなどした兄弟車で、小さな高級車というキャラクターも備えていたモデルである。

 デミオに対するグレードアップの手法は機能面では静粛性の向上、ボディとドアなどのチリと呼ばれる隙間の高精度化やインテリアの質感といったクォリティの向上などがあった。また、装備内容では本革シートの設定や楽曲を記憶できるHDD付きオーディオの装着が挙げられる。

ベリーサのインテリア。インパネやシートなどに上級感のある素材を採用していた
ベリーサのインテリア。インパネやシートなどに上級感のある素材を採用していた

 ベリーサは2代目デミオに対して価格差以上の高級感を備えていた。しかし、実売価格の安さを売りにしていた2代目デミオを基準にすると高く感じてしまうことや、つかみどころがないエクステリアが理由で販売は伸び悩んでしまった。

 最終的にベリーサはその投資のペイを目的とするように、デミオが2014年に4代目モデルになったあとの2016年まで生産が続いた。

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