以前は、多くのAT車に備わっていた「O/D OFF(オーバードライブ オフ)」スイッチ。だが、近年の新型車には搭載されておらず、「便利だったのにな…」と寂しく思っている人も少なくないのではないだろうか。令和の若者は知らない(と思われる)O/D OFFスイッチの機能と使い道を振り返りつつ、現代のクルマに備わるO/D OFFスイッチの「後任」機能をご紹介しよう。
文:吉川賢一
写真:NISSAN、HONDA、Adobe Stock
ATでありながら必要に応じてドライバーがシフトダウンを選択できた
O/D OFFスイッチは、ボタンを押す(オフにする)ことで、長い下り坂などで軽くエンジンブレーキをかけたいときや、高速道路などでブレーキペダルを踏まずに減速をしたいとき、または、高速道路の上り坂で追い越しのために加速をしたいときなどに使うスイッチだ。
「オーバードライブ」とは、変速比が1.000より小さい変速比のこと。エンジン回転とトランスミッションの出力軸の回転比が等しい状態が「変速比1.000」で、そのギアのことを「トップギア」、もしくは「直結ギア」とよぶが、このトップギアよりも変速比を下げたギア、つまりエンジンの回転数よりもトランスミッションの出力軸のほうが多く回るギアのことを「オーバードライブ(オーバートップ)ギア」という。
オーバードライブギアは、高速巡航でのエンジン回転数を下げることが目的で設定されていたもので、たとえば4速ATでO/D OFFスイッチを押すことで、オーバードライブギアをオフにする(使わない)ことになり、これによって4速オーバードライブギアから3速トップギアへシフトダウンさせ、アクセルオフで緩めの減速、アクセルオンで強めに加速をすることができた。
シフトチェンジによる減速は、他のかたちに置き換わっている
必要なタイミングでドライバー自身がシフトダウンをできることで、AT車の利便性に、MTのよさを付加してくれていたO/D OFFスイッチ。冒頭で触れたように、昨今の新型車には「O/D OFF」という名では搭載されていないものの、かたちや名前を変えて、同じような機能が備わっている。
たとえば、コンパクトカーの主流である無段階変速のCVTでは、B(「ブレーキ」のB)やS(「スポーツ」のS、)という呼び名で、ギア比を調整する機構が付いている。他にも、(現在は減っているが)一時期は、シフトレバーを横に倒して、マニュアル操作に切り替える「Mシフト」も流行っていたし、近年はステアリングホイールの後ろにある「パドルシフト」でシフトチェンジをするクルマも増えている。ドライバーが意図的にギア比を変更して減速をしたり、強めの加速に備えるという意味では、「O/D OFF」スイッチと目的は同じだ。
コメント
コメントの使い方キューブについてる。名古屋平和公園周辺を流すときによく使っております。この間念願のワゴンRスマイルが納車されて、走ってみたらハイブリッドのせいかなくてもいいじゃんってなった。これがジェネレーションギャップかっ。電動化で廃れていくものって増えていくんだろうなあ。
R2年式の日野トラックについてて、なんやこれってずっと思ってて謎が解けた18歳トラックドライバー
古いからなぁ・・いまだに使っているのは私はジムニー&シエラくらいしか知らない。
軽自動車だとまだあるのかな?。
エンブレ効かせるのに効果あったけど騒音・振動・燃費考えたら消えるのも仕方ないね。