HVでもEVでも必要? いらない?? 「暖機運転」の常識 最新版

HVでもEVでも必要? いらない?? 「暖機運転」の常識 最新版

 以前は必須とされていたエンジンの暖機運転ですが、技術が進化した近年のクルマでは「必要ない」とされています。ただいまも、「やらないよりはやったほうがいいんでしょ」と考えている人は多いようで、純ガソリン車だけでなく、PHEVを含むハイブリッド車やバッテリーEVであっても「やったほうがいい」と思う人が多いそうです。

 しかし近年のクルマでは、いわゆる暖機運転は必要ないばかりか、できるだけしないでほしい行為。暖機運転はやらないほうがいい理由とともに、現代のクルマでも必要なことについて考えます。

文:吉川賢一
アイキャッチ写真:Adobe Stock_ olando
写真:TOYOTA、NISSAN、Adobe Stock、写真AC

エンジン始動後はできるだけ早く発進、が現代の常識

 昔の純ガソリン車において暖機運転が必要だった理由は、エンジン全体へエンジンオイルを行き渡すことでエンジンの保護することのほか、暖めることでエンジン本来の動力・燃費性能を発揮させるため。エンジンを大切に思うことはクルマ好きにとって美徳であり、暖機運転をすることはクルマに対する愛情表現のひとつでもありました。

 しかし近年は、さまざまな技術の進化によって、エンジンが冷えた状態で発進するコールドスタートであっても、エンジンにダメージを与えることなく本来の性能を発揮させることが可能となっており、暖機運転は必要がないものとなりました。そればかりか、暖機運転は、燃料を消費しつつもクルマが動かないことで、トータル燃料消費量を多くする、環境によくないものと捉えられるようになってきています。

 暖機運転が必要な理由として「エンジンが冷えていると、暖まった状態と比べて燃費が悪くなる」とする人もいますが、確かに、エンジンをかけた当初の燃費は悪くなりますが、その間1ミリもクルマを動かしていないのであれば、トータル燃料消費量は多くなります。どうせ燃料を消費するのなら、少しでもクルマを動かして、トータルで使う燃料を減らして(=燃費をよくして排ガスを抑えて)ほしい、ということです。

 また、以前は、コールドスタートは温まった状態に比べて化学物質を取り除く効果が発揮されにくいとされていましたが、近年はコールドスタート時の燃焼技術が向上しており、以前に比べて環境性能は格段に進化しています。グリルの内側に蓋をして空気を取り入れなくするグリルシャッターもそのひとつ。もちろんコストはかかっていますが、こうした技術の積み上げで、純ガソリン車の暖機運転は、必要ないばかりか「できるだけ避けてほしい」ものとなったのです。

先代プリウスPHEVに搭載されていたグリルシャッター。冷却系に走行風を必要としない走行シーンではシャッターを閉じ、暖機を促進するとともに空気抵抗を軽減
先代プリウスPHEVに搭載されていたグリルシャッター。冷却系に走行風を必要としない走行シーンではシャッターを閉じ、暖機を促進するとともに空気抵抗を軽減

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