■デメリットを打ち消す車体の工夫がない
さらに、水平対向エンジンは幅方向のサイズが大きく、タイヤの切れ込み転舵角を制限せざるを得ません。カローラスポーツの最小回転半径は最小5.1mですが、インプレッサは全グレード5.3mとなっています。
インプレッサは構造上、回転半径が大きくなるのだったら、どうしてフロントオーバーハングを少しでも短くして実用上の小回り性能を確保しないのか?
大きく飛びだした前顔を見ると、10cm程度はデザイン代です。ここを削って、駐車場の小回り性や、荷室長などの利便性を高める設計をしてほしいものです。
昔のセドリック/グロリアやクラウンは、それこそ1mm単位で無駄をそぎ落とし全幅や全長を切り詰め5ナンバー枠に収めたのです。もっと顧客のために、1mmに神経を注ぐ設計を望みます。
実際インプレッサの後部荷室を見ると、奥行きが狭いし、荷室開口部の下部に傾斜があって実用上の奥行きを減らしています。1週間出張分のスーツケースを縦に並べて積むには、6cm足りない。ストロングハイブリッドではないのだから荷室床面はもっと低くしてほしいです。
■割り切ったカローラスポーツ
カローラスポーツの後部荷室も開口部の傾斜が大きく、荷室の実用上奥行きは狭いのですが、カローラシリーズにはステーションワゴンの「ツーリング」があります。
荷室容量が欲しい人はワゴンを選んでください、ということで「スポーツ」では積載性は割り切ってスポーティを重視した演出をしたのです。これはカローラのラインナップとして大事な戦略です。
カローラの後輪、ネガティブキャンバが大きくついています。
トヨタは最近、サスペンションジオメトリーを少し変えています。このカローラもフロントのキャスター角は7~8度程度あり、インプレッサの国産車で当たり前な6度程度と違っています。
そして、セッティングも欧州車に近い、フロントのロール剛性を強くして動きを抑え、リアをしなやかに動かして追従させるバランスとしています。リアサスを動かすので後輪にはネガキャンが必要なのです。
私だったら、このサスセットであればリアサスはトーションビーム方式を使って、ロール時の対地キャンバ角をしっかりと制御し、原価も下げます。カローラセダンのトーションビームは結構よくできていました。
エクステリアデザインを見ましょう。インプレッサは先ほども指摘しましたが、フロントマスクが無駄に長い。
バンパーサイドは切り立たせて真っすぐボディサイドに風を流す形状としても、バンパー正面の左右に大きな後退角をつけてしまっては、結局バンパーの左右両端部で正面から受けた風がサイドに流れず乱流となり、渦を作ってしまいます。
例えばZ33フェアレディZはV35スカイラインに対して空力性能は劣っていました。尖った形状のノーズでは、空力性能は低下します、新幹線の100系と700S系の違いも同じです。
空力で評価をすれば、カローラも決して高評価とは言えません。あくまでもトヨタのブランド顔を優先した造形です。
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