■スバル インプレッサの走り
さて、いつものように歩くほどの速度でゆっくりと大きく左右にステアリングを切ります。特にフリクションもなくスムーズな操舵感で、センター付近の不感帯も以前ほどありません。とてもスムーズです。2ピニオンラックのステア構造が効いていますね。
基本的に同じクルマのクロストレックでは、若干センターの不感帯があり、ここまでいいとは感じませんでしたが、これはタイヤの差による操舵感の違いです。
スバルのこのプラットフォームは基本的に剛性が高く、車体もガッチリしています。ステア機構の取り付けや配置などがよくなって、操舵フィールがよくなりました。
ただ、速度を上げていくと操舵時に一瞬引っ掛かりを感じる領域がありますが、これはEPSの制御です。ステア機構のハード自体は剛性が高く、2ピニオンシステムでの精度は高いのですが、そのぶん、EPS制御にもきめの細かさが要求されます。ちょっとした隙も操舵フィールとして伝わってしまいます。
操舵に対する反応は、フロントがシュッと反応する一方、リアが若干遅れて反応します。フロントのバネを固めて、動きをシャープでリニアに味付けています。
この操舵感は最近のアルファロメオに似ています。フロントのロールをバネで抑えて、フラットでシャープな操舵を演出しています。これはスポーティで安心感もあります。
これを可能としたのは、硬いバネをしっかりと受け止める車体剛性。さらに、スムーズに動くショックアブソーバーです。
低速で段差を乗り越える場面でもゴツゴツしたカド感を感じさせないスッとした抜けが、硬いバネを使っても滑らかな乗り心地を生んでいます。下り坂の旋回で前輪に荷重がかかる場面でも、前のめりにならず、姿勢とバランスを保ちます。
ただ、タイヤの鳴き出しが早い。ほんの少しフロントのバネをソフトにして、そのぶんショックアブの縮み側を締めてバランスをとると、さらにタイヤの接地は活かせると思います。
フルブレーキングでも前のめりの悪さはなく、後輪の接地はしっかりと保たれています。これは安心感があります。
エンジンはスバルの2L・NAで、水平対向エンジンの改良はされていますが、3200rpm前後でもう少しスムーズに吹き上がるといいです。
試乗後にフロントタイヤのトレッド面を触ると、均一に発熱しています。ショルダー部が片当たりすることなく、きれいに接地面を活かせているのです。ダイナミック性能は高次元でまとめられています。
■トヨタ カローラスポーツの走り
では同じく歩くほどの速度でゆっくり走りながらステアリングを大きく左右に切ります。……、操舵感が軽い。路面の段差で硬さを感じます。インプレッサのほうが断然足がスムーズに動いています。操舵に対する車体の反応は左右の差はなく、また遊びもなくダイレクトです。少しずつ速度を上げていきます。
最近のトヨタ車の方程式通りですね。フロントのロール剛性を高め、操舵に対する動きをシャープでフラットにしています。やや強めに舵を入れてもしっかりと追従してきます。かなりスポーティ志向の操縦性です。操舵に対する前後の動きのバランスがいいです。これは気持ちがいい操縦性です。
ただタイヤのトレッド面で路面を叩く音がちょっと大きく、シャーという高周波の音も耳につきます。
リアショックアブの伸び側減衰が強いです。リアサスは比較的自由に動かすセッティングなのですが、ある程度の入力になると、伸び側の減衰を強めて動きを抑えるセッティング。そのため通常のコーナリングなどでは操舵に対しフロントがシュッと反応し、リアが粘りながら追従します。
しかし、連続する路面の微小段差の通過などでは、伸びが規制されるため、リアがゴツゴツする場面があります。
エンジンは素直な吹け上がりです。きれいに燃焼しています。燃料噴射の制御や燃焼コントロールが上手です。トルクもしっかりと出ているし、アクセルに対する反応もいい。吸気音の不快なノイズがありません。吸気経路の中で乱流が発生していません、これはインプレッサの水平対向と逆です。
ブレーキはややフロント寄りのバランスで、後輪のブレーキを活かし切れていません。リヤタイヤの接地がよい分、後輪の制動配分を強くして安定した姿勢を作りたいです。
もうちょっとブレーキがしっかりすれば、操縦性そのものはVWゴルフなどと肩を並べます。ドイツの山道をハイペースで安心して走れるクルマです。
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