2023年1月にハイブリッド(以下HEV)、3月にはPHEVを発売したプリウス。5代目となる現行型は、伝統であるモノフォルムシルエットを継承しつつ、スポーティな印象を強めている。先代よりも高級路線に振ったが、その販売力は健在だ。プリウスが好調に売れ続ける理由を考えていく。
文/佐々木亘、写真/TOYOTA、奥隅圭之
■ランク圏外からトップ3へ躍進! 高くなってもプリウスの人気は衰えず
世界中を驚かせた初代プリウス、ハイブリッドを身近にした2代目、そして国民車とも言われた3代目と、世代を変えるごとにプリウスは人気を高めていった。
4代目はデザインで好き嫌いが分かれ、爆発的なヒットとは言えなかったものの、堅調に販売台数を伸ばしたモデルだ。
ただ、2022年のプリウスはモデル末期だったことに加え、使い勝手のいいハイトワゴンやSUV、ミニバン勢の台頭により、思ったような数字を残せなかった。販売ランキングは20位前後をウロウロし、販売好調とは言えなかっただろう。
しかし、新型の登場を機にプリウスの売れ行きは変わる。HEV登場の翌月(2023年2月)には、7620台を販売し、ランキング9位へ飛び込んだ。
それ以降も月販1万台に迫る台数をあげ続け、2023年4月には3位、翌5月には2位と、順調に販売ランキングも上げていく。
8月までの年間累計販売台数はHEVだけで6万520台と、ヤリスやノア・ヴォクシーに迫る勢いだ。プリウスが販売ランキングトップを独走し続ける未来も見えてきたか。
■想定よりも選ばれているPHEVは今後も伸びる可能性大!!
先代ではHEVとPHEVの車両デザインを分け、PHEVに特別感を持たせていたが、PHEVへの支持はそれほど増えることなく、HEVの10分の1程度の販売台数にとどまってきた。
この反省を生かしてか、現行型ではHEVとPHEVに極端な差を設けず、PHEVをプリウスの最上級グレードとして販売をスタートする。
2023年8月までの年間累計販売は、HEVが6万520台に対して、PHEVは4610台。PHEVはHEVと比較して登場が2カ月遅れていることと、生産台数が圧倒的にHEVへ集中していることを勘案すると、現行型のPHEVは健闘していると言えよう。
HEVとPHEVの価格差は90万円。決して安くないし、価格差を燃費等で取り返すのは難しい。
それでも、高まったプリウスの走行性能を一番に体感できるのはPHEVであり、スポーツセダンとして選ぶ理由は充分にあると思う。
PHEVを購入するユーザーには、プラグインハイブリッドが作り出す、未来への先行投資と考える人もいた。
今後も、PHEVの販売は伸びていきそうだ。プリウス販売好調の要因は、大幅に魅力を高めたPHEVの存在にある。HEVを日本に根付かせたプリウスが、今度はPHEVを当たり前のものにしていくか、注目していきたい。
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