トラックの高速道制限速度が2024年春に引き上げへ……果たして「あおり運転」は減るのか!? そして物流問題も解決する?

■追い越し車線をチンタラ走るのはマナー違反なのだが……

筆者は「追い越し車線をチンタラ走っていてもプレッシャーをかけられなくなった」と昨今のあおり行為厳罰化についても言及(satoshi.o@AdobeStock)
筆者は「追い越し車線をチンタラ走っていてもプレッシャーをかけられなくなった」と昨今のあおり行為厳罰化についても言及(satoshi.o@AdobeStock)

 今や「あおり行為」をすると厳罰の対象になる。そんなことから車間を詰めたりするあおり行為はずいぶん減った。「追い越し車線をチンタラ走っていてもプレッシャーをかけられなくなった」と言い換えてもよかろう。

 これ、世界基準から明らかにおかしい。追い越し車線をチンタラ走ったら完全なるマナー違反。世界標準で後続車から「どけ!」という強いプレッシャーをかけられます。

 荷物を急いで運びたい大型トラックの前を、オレが正義だと思っている「100km/hの制限速度で走ってナニが悪い!」(メーター読みなので実車速は96km/h程度)と思って走るドライバーがいたら、実質的な速度差20km/h! 

 どうなるか? 事故が増えるのはイヤだけれど、自分勝手なドライバーを蹴散らすシーンなんか見られると思ったら「それもいいか」だったりして。

■制限速度アップはトラックドライバーの「2024年問題」が発端

筆者は「燃料代がアップしてしまうのだったらドライバーの給与を4500円上げたほうがずっとマシ」と指摘する(metamorworks@AdobeStock)
筆者は「燃料代がアップしてしまうのだったらドライバーの給与を4500円上げたほうがずっとマシ」と指摘する(metamorworks@AdobeStock)

 閑話休題。運送業界の意見を見ると、どうやら一枚板ではない。けっこう多いのが「制限速度100km/hになってもウチは80km/h。そのほうが事故の心配ないし、燃費だっていい。総合的に考えたら有利」というもの。

 現在の90km/hリミッターの燃費と110km/hリミッターの実燃費は、今や大半のトラックは前者ベストのギア比になっていることもあり、20%以上違うと言う。

 東京~大阪をイメージした500kmを走行した場合、20%違えば4500円燃料代が上がる。そもそもカーボンニュートラルを目指す我が国の方針からすれば逆行しているし、だったらドライバーの給与を4500円上げたほうがずっとマシ。

 そもそも制限速度の向上は残業時間制限によって大型トラックドライバーの仕事を軽減させようという2024年問題から起因している。

■トラックドライバーの自由度を結果的に奪ってしまう制限速度アップ

連続運転時間の厳密な導入でSAやPAでトラックドライバーは仮眠を取ることもままならなくなる(淳子 中屋@AdobeStock)
連続運転時間の厳密な導入でSAやPAでトラックドライバーは仮眠を取ることもままならなくなる(淳子 中屋@AdobeStock)

 結果的に二酸化炭素を20%も多く排出し、危険度を大幅に増やし、それでいて大型トラックドライバーは自分のペースで休憩を取ることだってできなくなる。連続運転時間が厳密に導入された場合、眠くなったって仮眠できない。

 次のスティントで運転時間制限を受けるため、1回多く休憩しなければならないからだ。はたまた連続時間に近くなってSAやPAに入ろうとしても混雑していたらダメ。

 結果的にドライバーの自由度を大幅に奪うことになってしまう。何のための規制強化なのかサッパリわからないです。

 明らかに社会的損失が多いと思われる制限速度の緩和策ながら、忖度ばかりする有識者の皆さんは政府の意向を汲んで「そいつぁいいね!」という判断を下すことだろう。あおり運転で追い越し車線をチンタラ走るクルマを一掃してくれればいいか、と納得するしかない?

【画像ギャラリー】トラックの高速道制限速度が2024年春に引き上げへ……物流問題とあおり運転は解決するのか?(5枚)画像ギャラリー

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

トヨタセリカ復活計画、始動!? 新型ホンダフリードの獲れたて新情報も盛りだくさん!【ベストカー6月10日号】

トヨタセリカ復活計画、始動!? 新型ホンダフリードの獲れたて新情報も盛りだくさん!【ベストカー6月10日号】

トヨタ自動車の壮大なるBIGネーム復活計画の第四弾は……なんとトヨタセリカ!? 新型ホンダフリードの注目情報や、レーシングドライバー岩佐歩夢選手の新旧ホンダスポーツカー試乗など、GW明けから全力投球な企画だらけです!