白バイ隊員なのに白バイを降りて……!? まさに警察24時 酒気帯び運転取り締まりの日々

■ひたすらクルマを停止→酒気帯び検査の繰り返しで夜が明けてゆく

 夜間の警らは、深夜までぶっ通しで行われていた。スタートはだいたい21時半頃からで終了は翌日の午前3時頃。やることは、ひたすら飲酒検問だった。

 暑い夜も、寒い夜も関係ない。雨の夜は高架下やトンネル内で実施した。1台、1台、走っているクルマを停止させては、運転手や車内の匂いを嗅ぐだけの作業である。

 いちいち免許証の提示など求めず、これの繰り返しだった。それにしても平成初期の当時、酒気帯び運転の多かったこと!

 警ら終了後は帰隊して、各車の車両清掃。その後、中隊部屋に全員揃ったところでその日の活動は事実上、終了となる。

 後は書類整理等のデスクワークだ。また各自それぞれ仮眠室にて仮眠をとり、朝9時半の定時退庁時刻に全員揃って「お疲れさまでした~」と解散となる。

 なお、実際は仮眠前に反省検討会的な時間も設けられていた。

 実は、交機隊は所轄と違って110番による事件、事故等の扱いは一切しない。交通取り締まりだけをひたすらやっていればいい部署なのだ。

 極端な話、強盗殺人等、凶悪事件が管内、すなわち縄張り内で発生しても所轄任せであって、交機隊が動くことはない(もちろん、目の前でまさに犯罪が行われているのであれば警察官として対処はするわけだが)。

 そんな事情もあって、基本的に警ら中に逮捕事案にでも発展しない限り、ルーティンをこなすだけの毎日となるのだ。

 ちなみに、クソつかみ(編集部註:処理に膨大な時間がかかってしまう案件。現場の大きな負担となる)の逮捕事案等が発生してしまうと仮眠なしの徹夜作業になる。逮捕後48時間以内に被疑者と立件に必要な書類等を検察庁に送らなければならないからだ。

 このため全員作業となる。加えて、取調べ後の被疑者の留置にあっては、最寄り警察署の留置場へ移送しなければならない(留置施設は警視庁本部と警察署にしかないため)。

 被疑者の移送だけでも3名の隊員を要するので、非常に面倒なのである。

一人乗車の違反者が無免許と酒気帯び運転のWパンチの場合。そのほか飲酒や無免許などの違反歴が複数回ある常習者(無線照会ですぐわかる)も、逮捕事案になることが多いという(Satoshi@Adobestock ※画像はイメージです)
一人乗車の違反者が無免許と酒気帯び運転のWパンチの場合。そのほか飲酒や無免許などの違反歴が複数回ある常習者(無線照会ですぐわかる)も、逮捕事案になることが多いという(Satoshi@Adobestock ※画像はイメージです)

*   *   *

 ウェブでは出せない話も満載!? 白バイ隊員たちの知られざる日々、悲喜こもごもを綴った『白バイ隊員 交通取り締まり とほほ日記』は講談社ビーシーより好評発売中です!

●洋吾(ようご):元警視庁の警察官。交通機動隊や警察署の白バイ隊員を長く務める。運転技術はいまいち、ドジでオッチョコチョイだが、3年連続で取り締まり件数トップの実績もあり。ブログ「脱公務員の部屋・元白バイ乗り親父の話」を公開中。2022年10月『白バイ隊員 交通取り締まり とほほ日記』を上梓。同書のイラストは同ブログのマスコットキャラクター「ニャンコ白バイ隊」。

【画像ギャラリー】いくつわかる? 警察・白バイ用語解説7選(9枚)画像ギャラリー

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

トヨタセリカ復活計画、始動!? 新型ホンダフリードの獲れたて新情報も盛りだくさん!【ベストカー6月10日号】

トヨタセリカ復活計画、始動!? 新型ホンダフリードの獲れたて新情報も盛りだくさん!【ベストカー6月10日号】

トヨタ自動車の壮大なるBIGネーム復活計画の第四弾は……なんとトヨタセリカ!? 新型ホンダフリードの注目情報や、レーシングドライバー岩佐歩夢選手の新旧ホンダスポーツカー試乗など、GW明けから全力投球な企画だらけです!