2019年の1月と2月の新車販売台数。前年同月比と見てみると、急激に売上を伸ばしたり激減していたりする車種がある。なぜなのか? そのカラクリを探ってみた!
※本稿は2019年4月のものです
※「異常あり度」は、渡辺陽一郎氏が前年比の大きさに加え、その理由の大きさも考慮して評価したものです(最大値は5つ★)
文:渡辺陽一郎/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2019年5月10日号
■マツダ CX-5…569.2%(2月前年同月比)
●ナゼ前年比が激増?
2月の登録台数は4087台だから特に多くないが、対前年比は569.2%に達した。その理由は前年の(2018年)の2月に、エンジンの改良を伴う規模の大きなマイナーチェンジを行い、登録台数が700台少々に下がったからだ。
改良を行う時は、一時的に生産ペースが下がり、登録台数が減ることは珍しくない。その影響で今年は急増となった。
このように対前年比から需要の増減を判断する時は、前年の台数と「前年の対前年比」を見る必要がある。
現行のCX-5は2017年に発売された。クルマの売れゆきは、フルモデルチェンジをしない限り、時間の経過に連れて下がるか横這いだ。急増したとすれば特別な理由がある。単純に「人気が高まった」と判断せずに、理由を探ることが大切だ。
「異常あり度」…★★★★★
■ホンダ ジェイド…600.0%(2月前年同月比)
●ナゼ前年比が激増?
従来のジェイドは3列シート仕様のみで、2列目は座り心地が悪く、3列目は超絶的に狭かった。そこで2018年5月に、快適な後席を備えた2列仕様を加えている。グレード構成も見直し、スポーティなRSの走行性能を高めて販売の主力に据えた。
その結果、売れゆきが伸びたが、登録台数自体は大した数字ではない。2019年2月の対前年比は600%と凄いが、登録台数は300台にとどまる。昨年2月がわずか50台だったから6倍に増えた。
月販台数が100台以下になると、モデル末期の特別仕様車が少し売れただけで、対前年比が急増することがある。いい換えれば、不人気車を人気車にするのは難しいが、多少の販売のテコ入れは工夫次第で可能だ。
「異常あり度」…★★★★☆
■トヨタ プリウスPHV…35.6%(1月前年同月比)
●ナゼ前年比が激減?
プリウスPHVは2017年12月に特別仕様車を設定したから、2018年1月に売れゆきが伸びて、相対的に今年の売れゆきが下がった可能性はある。
ただし登録台数そのものは450台と少ない。2月は970台で増減の比率は大きいが、登録台数の違いは500台少々しか差がない。
販売店によると、最近は標準タイプのプリウスが納期を伸ばし、3~4カ月待ちという。逆にPHVは短い。標準タイプのプリウスを生産する都合上、PHVが一時的に影響を受けた可能性はある。
プリウスは標準モデルを含めると1カ月に1万台近くを登録するから、生産の都合でPHVに500台程度の増減が生じても不思議ではない。
「異常あり度」…★★★★★
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