クルマの制御が機械式だったのは昔の話。今やクルマはコンピューターをはじめ、すべて電子的に制御されている。でも「センサーで感知して……って言われてもよーわからん……」そうお思いの人も多いハズ。そこで、クルマに備わる電子部品、なかでもよく聞く「センサー」について基礎を学んでいこう!!
※本稿は2023年9月のものです
文/三木宏章、ベストカー編集部、写真/ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2023年10月26日号
■そもそもセンサーってどういうもの?
・A:人間でいう「五感」みたいなものです
クルマの電子制御……それにはセンサーが、コンピューターが……なんて聞くと凄く複雑なことをしているように思えるだろう。
しかし、これらは人間に置き換えて考えるととてもスンナリと理解することができる。
まず、クルマの電子制御は大きく3つのパーツに分かれている。情報を収集するセンサー、収集した情報を演算し制御内容を決定するECU、そしてECUの指示に従って実際に駆動するアクチュエーターの3つだ。
これら3つのパーツの間は配線(ハーネス)で接続されており、電源がONの状態では常に通信を取り合っている。
このセンサー、ECU、アクチュエーターの関係性を、人間に置き換えて考えてみよう。
人間には五感(視覚、聴覚、触覚、嗅覚、そして味覚)が備わっている。そこで得た感覚は神経を通って脳内で処理された後、何をすべきか脳が手や足などに指示を出して動かしている。
このうち五感をセンサー、脳をECU、手足をアクチュエーターと置き換えると……ホラ、それぞれが何をして、どんな役割を担っているかわかったのではないでしょうか?
■エンジンには色々なセンサーが備わっている!
1:エアフロメーター/バキュームセンサー
自動車のエンジンは、燃料と空気が混ざりあった混合気に点火プラグで点火し、爆発させることで動力を得ている。そこで重要なのが燃料と空気の比率、いわゆる空燃比だ。
エアフロメーターとバキュームメーターは、そんな吸入空気量を測定する重要な役割がある。エアフロメーターは電流値の変化、バキュームメーターは圧力差による抵抗値の変化で吸入空気量を測定している。これらが壊れるとアイドル不調の一因になる。
2:O2センサー
O2センサーは、その名のとおり“O2(酸素)”の濃度を測定するセンサーだ。酸素濃度を測定することで、先ほど燃焼した混合気が濃いのか、薄いのか信号をECUに送っている。エアフロやバキュームセンサー同様に空燃比の制御に必要不可欠な部品だ。
排ガスに含まれる酸素濃度を検知するので、エキマニや触媒の前後など、高温になる排気システムに取り付けられる。故障するとアイドリング不安定といった症状が出る。
3:クランク角センサー
自動車で一般的な4サイクルエンジンは、吸気・圧縮・爆発燃焼・排気という4つの工程を繰り返し、ピストンの上下運動をクランクシャフトで回転運動に変換している。このクランクシャフトの回転角度を測定し、ECUに伝えるのがクランク角センサーの役割だ。
回転角度でピストン位置や吸排気バルブの開閉時期、点火プラグの点火時期が決まるので、これが故障すると燃料ポンプの駆動が止まってしまい、エンジン始動不能といったトラブルが発生する。大変重要なセンサーだ。
4:カム角センサー
シリンダー内に混合気を送り、排出するためにエンジンにはバルブが設けられている。このバルブ開閉を行うカムシャフトの動きを検知し、クランク角センサーと同様にECUに信号を送るのがカム角センサー(カムシャフトポジションセンサー)の役割だ。
クランク角センサーの補助的な役割を果たしていることが多いが、万が一カム角センサーに異常・故障が発生すると点火時期がわからなくなるので、エンジンが始動不能になることがある。
コメント
コメントの使い方私はこれらのセンサーは、人間で言う自律神経と内臓的に捉えています。
私達も心臓の鼓動を自覚し調整してる訳じゃなく、走るときは体がシステムに伴い自動で最適に合わせてくれるので。
そして電子制御ダンパーやシンメトリカルAWDなどのトルクベクタリングが、感覚器官のうちの一つ一つと脳による出力という感じ。