メーター類「優しい見え方にこだわり」
私どもでは「瞬間認知」「直感操作」を大切にしており、メーター類でもこの考えは注入されています。それには【図2】のように「メーター位置を遠くへ、見下ろし角度を小さく」し、視線移動を少なくすることが大切です。
また業界的に、“優しい見え方”となるカラー液晶のメーター類が増え続けており(大型化も増加中)、このことも疲れないクルマに大きく寄与していると思います。
そして、とにかくストレスなくメーター類を読めること。疲れないクルマの重要なカギです。
その要素としては、【1】「見やすい文字書体の検証」。書体により見え方がさまざまなので……。【2】「表示の整理」。安全技術も加わり、最近のクルマは表示が多い。見やすくするために間(隙間)のとり方やサイズ感を変えて、どこを優先して読ませたいのかという工夫も。
そして、【3】「黒地に白色表示が見やすい」。弊社の以前のクルマで黒地にオレンジ色のメーターのモデルがあり、お客様に不評の声も。「疲れる」という声もありました。それを改善し、現状は黒地に白色表示が基本です。
最後にヘッドアップディスプレイ。「読ませるのでなく感じさせる」、目を使わせないための工夫です。例えば追突しそうな時の警告としてオレンジの光がパッパッと点滅。危険を感じさせる演出ですね。
(保田宗洋 研究員)
運転して疲れない現行国産車は?
では、実際に運転して疲れにくいのは、どの車なのか? 自動車評論家の国沢光宏氏が解説。
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中高年になると、厳しくなる3大要因といえば、【1】乗降性、【2】視認性、【3】事故を起こしたくないという気持ち……、だと思う。それぞれ紹介してみよう。
まず乗降性だけれど、シート高と密接に関係してくる。1番厳しいの、低くてシートが奥にあるスポーツカーです。こらもう乗り降りする度に「よいしょ!」という声を出したくなるほど。
かといってよじ登るようなシート高もアカン。適当な高さのSUVとかがベストだと考えます。
視認性だけれど、加齢とともに首の“捻り角”も少なくなり同時に億劫になっていく。ピラー太かったりすると、死角大きくなるため、何度も首を捻らなくちゃならん。
視認性いいクルマだと1度の確認ですむ。特にイヤなのが、リアの死角大きいクルマだ。駐車場から出て行く時など、直角じゃなく斜めというケース多い。Cピラー太いクルマだと「カンベンしてくれ!」と思いますね。
そして3つめの事故を起こしたくないという気持ちは、加齢とともに強まっていく(70歳すぎると逆に強気になる先輩方が多いです)。
考えてほしい。クルマ関連のトラブルで最も滅入るのは事故。こらもう大小に関わらずイヤだ。
ということで、運転支援システムの性能悪いクルマになど、少なくとも私は絶対に乗りたくないです。新車で買うのなら、安全装備テンコ盛りのモデルを選ぶ。
以上の視点から、選んでみたのが以下であります。
【1】最もストレスなく乗れるのが新型RAV4である。自動ブレーキシステムは日本車No.1。オプション設定になっている斜め後方の安全確認システムを付けておけば、全周の安全性を確保できます。
ドラポジよし。視認性もよし! 中高年が買うならパワフルなハイブリッドがいい。
【2】続いてCX-5。これまた自動ブレーキに代表される運転支援装置の性能が高く、着座高もちょうどいい感じ。70歳以上じゃなければ、ボディサイズだって気にならないレベルかと。
【3】けっこう楽チンなのがリーフ。安全装備万全。しかも電気自動車って街中を走っていてストレス少ない。やっぱりエンジンかからないってステキだと思う。
【4】安全装備で少し物足りない部分もあるけれど、アウトランダーPHEVは中高年に素晴らしく優しい。なんせ乗っていて楽しいし、奥ゆきがあるのだった。
これまた自動ブレーキ性能でやや遅れを取ってしまったものの、視界のよさやドライビングポジション、さらにコストパフォーマンスまで考えると魅力的であります。
【5】ボディの小ささは、使い勝手のよさに結びつく。軽乗用車を考えているなら自動ブレーキ性能の高いN-BOXでしょう(新型デイズとeKは未試乗なのでコレ)。
【6】最後に軽トラックで自動ブレーキ付く、ハイゼットトラックを挙げておく。安心走行をともなう働くクルマである。
(文/国沢光宏)
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