「なんでこうなった!?」 開発した人を小一時間ほど問いただしてみたい、でも憎めない「ざんねん」なクルマたち、エピソードを集めた『ざんねんなクルマ事典』『ますます! ざんねんなクルマ事典』(小社刊)。
日本のクラシックカーや絶版車、珍車についての知識にも定評あるモータージャーナリスト、片岡英明氏監修の本書より、今回はスバルの“惜しかった”派生車・特別限定車たちをピックアップ!
書籍監修/片岡英明、写真/ホンダ
■何を血迷ったかレトロ顔のインプレッサ。まったく売れなかった! スバル インプレッサ カサブランカ(1998年)

●スポーティな車体に古風な顔のアンバランスさ
スバル インプレッサ カサブランカは、1998年に5000台限定で発売された「レトロ顔のインプレッサ スポーツワゴン」です。
当時、クラシカルな外観の軽自動車が大流行していたのを受けて作ったものですが、ハッキリ言って「何を血迷ったのか?」と言いたくなるほどアンバランスなデザインであったため、売れ行きは今ひとつでした。
しかしその後「カサブランカ用のパーツ単体」は、ネットオークションなどでそれなりの人気を集めたようです。
・発売年月:1998年12月
・エンジン種類:水平対向4気筒 SOHC
・総排気量:1493cc
・最高出力/最大トルク:95p/14.3kgm
・全長/全幅/全高:4365×1690×1405mm
・車両重量:1140kg
・諸元記載グレード:カサブランカ(FF)
●ざんねん度:★★★★★
■ポルシェデザイン? だからポルシェがデザインしたんでしょ。えっ、違う? スバル 3代目レガシィ ブリッツェン(2000~2003年)
●エアロパーツのデザインを監修したのはポルシェデザイン社
スバル レガシィ ブリッツェンは、2000年に発売された3代目レガシィの改良型から初めて設定された特別仕様車で、装着されているエアロパーツはドイツのポルシェデザイン社と共同開発されたものです。
当時、多くのクルマ好きは「ポルシェがレガシィのエアロパーツを開発した!」と思い、「同じ水平対向エンジン同士で仲間意識が沸いたのかな」などと推測して盛り上がりました。
ですが、ポルシェデザインはポルシェの子会社ではありますが、れっきとした別会社。真相を知ったファンは少しだけ落胆することになりました。
特徴的なリアスポイラーなどなど、カッコいいんですけどね。
・発売年月:2000年2月
・エンジン種類:水平対向4気筒+ターボ
・総排気量:1994cc
・最高出力/最大トルク:260ps/32.5kgm
・全長/全幅/全高:4630×1695×1410mm
・車両重量:1480kg
・諸元記載グレード:ブリッツェン
●ざんねん度:★★★★☆
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コメント
コメントの使い方レガシィのブレッツェンが出た頃は富士フイルムのデジタルカメラやサムスンの液晶ディスプレイなど「ポルシェデザイン」を関する製品が割と普通に売ってましたから、自動車メーカーのポルシェがスバルの特別仕様車をデザインしたと思い込むクルマ好きがいたとしたら余程の世間知らずで、少なくとも極少数派でしょうね。
初代インプレッサのカサブランカから取り上げる謎な構成の記事ですが、そもそも3つ目のヴィヴィオビストロが先に割とヒットし、他社もクラシック風に手を出す中で生まれたカサブランカは残念ではあっても謎ではありません。そして、サンバーやプレオでもクラシック風を続けたスバル車に次のヒットが生まれなかっただけで、クラシック風ブームの先駆けとなり自身は売れていたビストロを残念と評する理由も見当たりません。