2023年もさまざまな出来事があった自動車業界。コロナ禍も一応の落ち着きを見せ、明るい兆しが見えた一方、不正のニュースも目につく年だった。そんな波乱の2023年を振り返り、国産乗用車8メーカーに通信簿を渡したい。
※本稿は2023年12月のものです
文/桃田健史、写真/トヨタ、日産、ホンダ、三菱、SUBARU、スズキ
初出:『ベストカー』2024年1月10日号
■コロナ明けで各社業績は上向きに
どのメーカーも業績は上向きだ。コロナ禍、ロシアのウクライナ侵攻、イスラエル情勢など、先行き不透明な情勢ではあるが、グローバル市場全体では販売は回復傾向が出てきた。
技術面では、CASE(コネクテッド・自動運転・シェアリングなどの新サービス・電動化)が2010年代後半から進化するなかで、メーカーそれぞれが「やれること」と「やらないこと」を見据えてきたといえるだろう。
そうしたなかで、メーカー各社にとって最も大きな課題は、やはり電動化だ。あえて言い換えれば、EV化である。
日本自動車工業会としては「電動化は、国や地域の規制や社会情勢に応じて、都度対応する」との姿勢を崩していない。トヨタでいうところの、マルチパスウェイだ。
■目まぐるしく変化する海外の環境
仕向け地別で見れば、EVシフトに積極的だった欧州では欧州グリーンディール政策における規制で、合成燃料の使用を認める判断を下すなど、全方位体制の日本勢にとっては“ひと息つける”状況になりそう。
アメリカでは「テスラシフトが進むも、市場全体としてのEVシフトは腰折れ状態」といった見方もできる。
ただし、世界最大自動車市場である中国では、EVの新車安売りが激化しており、日本メーカーが中国市場戦略を一部見直す事例も起きている。
このようにEV化の進捗がグローバルでは“まだら模様”であり、日本メーカーとしては自社の手駒のなかからベターな選択をするしかないだろう。
日本の自動車メーカーは円安で収益が確保できている今、次の一手に向けた投資をする時期だと見る。
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