■パワートレーンはV6、3LDOHCとV8、4.1LDOHCの2本立て
メカニズムでも上級化を図り、従来のスカイライン&ローレル系をベースからセドリック/グロリア系にシフト。ベースをY32型セドリック/グロリアと共有するが、ホイールベースは専用となり、セドグロよりも少し長く、全長と全幅もひと回り大きい。
ただし、パーソナルセダンとしたことから、着座位置はセドグロよりも低く設定されていた。エンジンは、再び自然吸気仕様のみに。メインは3LV6DOHCのVG30DEとシーマ譲りの4.1L V8DOHCのVH41DE型を搭載。
いずれも電子制御4速ATとの組み合わせであった。最上位となる4.1L仕様は、国内のみで展開。海外仕様であるインフィニティJ30は最上位のインフィニティQ45との競合をさけるため、3Lのみとされた。新車発売時の価格は、3L車が385万~386万円。4.1L車は一気に上昇し、469万円であった(※いずれも東京・名古屋・大阪地区価格)。
1992年4月に先行発表された北米仕様のインフィニティM30の評判は上々、バカ売れとはいかなかったが、安定した販売で推移した。しかし、1992年6月に発売した日本では、独自性を追求したエクステリアデザインの評判が悪く、当初より販売は不振に。
発表された月販目標台数の3000台など遠く及ばず、総販売台数は7411台に過ぎない。端的にいえば大失敗に終わった。その背景には、キープコンセプトで成功を収めたセドリック/グロリアのグランツーリスモや新感覚の高級セダン、トヨタアリストの存在もあった。
つまり、日本の高級セダンはスポーツ指向だったのに対して、それとは異なるフォーマル志向が裏目に。まさに市場動向の読み違えといえよう。
■落ち着いた上品な佇まいは貴重ではあったのだが……
改めて実車を見てみると、落ち着いた佇まいの上品が好印象。今のギラついた高級車が失った輝きを感じさせる。ただ、セドグロ以上シーマ未満という存在は、今となってもオーナー像が浮かびにくいのも本音。日本では、誰に向けたクルマだったのだろうか……。
考えるほど、北米優先で生まれたクルマという印象が強くなる。大きな謎のひとつが、フロント用カップホルダーが非設定だったこと。これはパーキングブレーキのリリースレバーをセンターコンソール上に配置したことが原因。
ただし、北米仕様のインフォメーションM30では、ダッシュボード下にリリースレバーを設けることで、センターコンソールにドリンクホルダーをしっかりと装備していた。デザイン優先の結果だったのだろうか……。
■先代に負けず、国内外の銀幕でも活躍していたJフェリー
2024年5月24日に新作映画が封切りとなる『帰ってきたあぶない刑事』が話題のTVドラマ「あぶない刑事」シリーズで、先代となるF31レパードは、タカ&ユージの欠かせない相棒として活躍し、記憶に残る名車となっているが、実はレパードJフェリーもスクリーンで活躍している。
まず、国内では藤田まこと氏演じる人情デカ、安浦刑事の活躍を描いた「『はぐれ刑事純情派』のシリーズ中で覆面パトカーとして活躍したことも……。そして舞台を米国に移し、正義と悪のプロフェッショナルの交流と戦いを描いたアクション大作『ヒート』では、アルパチーノ演じる敏腕デカ、ヴィンセント・ハナがロバート・デ・ニーロ演じる強盗団のボス、ニール・マッコーリーを追跡する際に用意させた覆面パトカーとして、インフィニティM30が登場していた。
販売が振るわなかったレパードJフェリーは、1995年3月に4代目にバトンタッチ。再び、名前をシンプルにレパードに戻し、完全にセドグロとの共有化が図られた姉妹車となった。
唯一の救いは、スポーティな専用フロントマスクが与えられたことだろう。このため、レパードは販売台数が増加したが、それでもJフェリーの2倍程度で、その歴史に幕を下ろした。
販売的には、失敗に終わったレパードJフェリーだが、新たな高級車像を模索したことは評価したいと思う。
【画像ギャラリー】リアに注目!! 尻下がりデザイン今なら売れそう……レパードJフェリーの全貌を写真で(7枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方いかんせんデザインが日本人の好みに合っていなかったのが痛い。
売れなかった原因は、コンセプトが曖昧だからではないのか?ソアラに負けカリ-ナEDの後追いに走った。
当時これを見て不人気だった尻下がりのブルーバード(410型)を連想した人が多かったのではないでしょうか。最近のベンツのセダンは尻下がりになっており、出てくるのが早すぎたのでしょうね。
売れなかった原因は記事に指摘されている事の他に先代レパードから乗り換えるにはキャラが違いすぎること、正面から見ると同時期のブルーバードARX(HT)とそっくりだったこともありますかね。
今見ると魅力的な車なのが残念ですね。