時間をかけて愛車を洗車し、ボディやウィンドウをピカピカにしたのに「何かきれいになった感がない……」と思うことがある。その原因はホイール周りの汚れ。そこで今回はホイール周りの汚れの原因と対策、美しさを保つ方法などについて紹介しよう。
文/今坂純也(DIRT SKIP)、写真/写真AC、Adobe Stock
■ホイール汚れの原因、その正体は?
現在のクルマに採用されているドラムブレーキとディスクブレーキ。ドラムブレーキではブレーキシューと呼ばれる摩擦材をブレーキドラムに押し付け、ディスクブレーキでは摩擦材のブレーキパッドをブレーキローターに押し付けることでクルマは止まる。
車輪が回転する運動エネルギーを、この「押し付けること」で発生した摩擦によって熱エネルギーへと変換。ここで発生した摩擦熱をブレーキが吸収することでクルマは止まることができる。
そして、この摩擦によってブレーキシューやブレーキドラム、ブレーキパッドやブレーキローターの表面は削れて削りカスが発生。これを「ブレーキダスト」と呼び、ホイールに付着することで汚れが発生する。
ドラムブレーキでは、ブレーキダストはドラム内に落ちるのでホイールに大量に付くことは少ないが、ディスクブレーキはシステムが剥き出しのため特にホイール内側、そして外側にまで飛び散ることになる。
このブレーキダストの正体は鉄分で、ブレーキドラムやブレーキローターの削りカス。汚れたホイールをよく観察すると茶色っぽいような色をしているが、これは付着した鉄分が錆びている(赤サビ)からだ。
この赤サビは放置しておくとちょっとやそっとでは落ちず、さらに汚れは進行&固着するのでとてもやっかい。汚れがひどくないうちに落としておきたいもの。
■ドイツ車は特にホイールが汚れやすいのはなぜ?
ほとんどの日本車の純正パッドはスチールが入っていない「ノンスチール材(別名NAO材)」。だが、ドイツ車に代表される欧州車には約30%以下のスチール分が含まれた「ロースチール材」が多く採用されている。
日本車のノンスチール材はロースチール材と比べて「高速域からの減速性能が劣る」「有機分が多いため対フェード性能が低い」などのデメリットはあるものの、「街乗りの速度域ではブレーキダストが少ない」「利き方がマイルドで扱いやすい」などのメリットがある。
そのいっぽうでドイツ車のロースチール材はノンスチール材と比べて「高速域からのブレーキング時はブレーキパッド摩耗量が少ない」というメリットがあるが、「街乗りではブレーキダストが多い」「ブレーキ鳴きが発生しやすい」などのデメリットも。
速度無制限区間のあるアウトバーンでの超高速走行にも耐えられるように作られているドイツ車は、日常使用でブレーキダストが多く出るのは設計上しかたのないことだ。
ブレーキダストの量を抑えたいなら、ブレーキパッドとブレーキローターを別の材質のものに交換すればいいので、気になる人はプロショップに相談すべし!
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