■若くてバカだった時代を思い出した!
内外装ともにパーフェクトな仕上がりを見せたアルピーヌA110だが、スポーツカーにとって重要な「走り」はどうか。これは期待せずにはいられない。
エンジンは4気筒の1.8Lターボで252ps/32.6kgmらしい。
私はそういうスペックには無頓着だが、撮影場所まで乗ってきた編集担当は「とにかく軽いんです!」と興奮している。私も軽いクルマは大好物なだけに、そこは大いに気になるところだ。
カードキーを助手席前の薄い穴に差し込むという独特の儀式を経て、スタートボタンを押すと思いのほか静かなエンジンが始動する。
まずはゆっくりと走り出したが、その瞬間から「軽いね!」と叫んでしまった。
最近乗ったクルマのなかではスイフトスポーツも軽さが際立っていたが、その比ではない。着座位置の低さとあいまって、クルマではない何か別の乗りものに乗っているような気分になる。
アクセルを踏み込むと、音とエンジンの回り方に驚いた。まるで昔のDOHCエンジンのような荒っぽさなのだ。ハコスカGT-Rやベレット、私は知らないが、もしかしたらトヨタ2000GTもこういうエンジンだったのではないだろうか。
その雰囲気を味わったとたん、私の頭は1960年代に飛んでしまった。かつて、兄貴のヨハタチ(トヨタスポーツ800)で銀座のみゆき通りに繰り出し、意味もなくエンジンを空ぶかしして女の子を驚かせていた若くてバカだったあの頃。その思い出が突然甦ったのである。
アルピーヌA110はタイムマシンだったのだ! このクルマがどんな走りを見せてくれるのか、いろんな想像をしていたが「タイムマシン」は想定外だった。私は昔のA110に乗ったことはないが、見た目だけでなく、走りの雰囲気も当時のクルマに見事に寄せてきたことがわかる。
私は今夜、昔のクルマ仲間に電話するだろう。A110は1960年代のスポーツカーだったと。俺たちの青春時代を甦らせてくれるクルマだったと。そして「最高だった!」と。
ぜひ若い人に乗ってほしい。スマホを海に投げ捨て、お金を貯めてA110を買ってほしい。生涯の思い出となる最高の経験ができるに違いない。ゴーンさんはあんなにおカネにうるさい人だったとは知らなかったが、彼が率いるルノーは間違いなくいい仕事をした。
かつて、AKB48を卒業した時の前田敦子ちゃんの言葉を借りるなら「ゴーンは嫌いになっても、アルピーヌは嫌いにならないでください!」である。
ゴーンさんは今後通うことになるであろう裁判所に、ぜひアルピーヌA110で乗りつけてほしい。
■テリー伊藤 今回のつぶやき
若者はスマホを海に投げ捨て、全財産をこのクルマにかけるべし! アルピーヌA110は生涯の思い出になる!!!
(写真、内容はすべてベストカー本誌掲載時のものです)
【画像ギャラリー】テリーさん、心昂る!!! アルピーヌA110試乗の様子をギャラリーでチェック!(7枚)画像ギャラリー
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