突如として米国アップル社が10年以上取り組んできたEV開発から撤退すると大々的に報じられた。今後、アップルは生成AIに開発資源を転換すると報じたが、そうなると気になるのがソニーホンダの動向だ。どうなる?
文/国沢光宏、写真/AdobeStock(トビラ画像:J_News_photo)、ベストカーWeb編集部
■アップルカーはとうとう姿を見せずに終焉?
アメリカのブルームバーグが「アップルは電気自動車ビジネスを断念した」と報じ、日本でもNHKがこのニュースを取り上げた。米ウォールストリートジャーナルまで取り上げているから間違いないのだろう……というか自動車関連の情報では私らの方が詳しかったりする。
実はこの件、2023年の夏前から「ダメらしいね」とウワサになってました。アップルのクルマを生産しましょうという企業がなかったのだ。
※2021年3月の国沢氏のベストカーWebでのコラム記事はこちら
改めてアップルカーについて説明しておく。私のブログで最初に取り上げたのは2015年2月。そこから追いかけており、2021年3月に最新情報をベストカーWebで出している。概要をまとめると以下のとおり。
「そもそもアップルカーとはなにか? 発端はアップルの創始者であるクルマ好きのスティーブ・ジョブスが立ち上げた”タイタン”という自動運転プロジェクトにある。当時、グーグルやウーバーなどが自動運転に注力しており、アップルも2021年に実用化したいとブチ上げた」
「その後、タイタンに目立った動きなし。スティーブ・ジョブス亡き後、プロジェクトは自然解散したのかと思っていたら、突如2020年あたりからクルマを作るという話になる。もちろん、自社で開発&生産などできないから、自動車メーカーに委託する」という流れだった。
■目指したのはテスラだった?
今やゼロから自動車メーカーを興すことなど不可能に近い。テスラだって技術者は自動車メーカーから集め、トヨタからタダみたいな価格で譲ってもらった居抜きの工場で生産を開始した。
アップルが考えていたのは、企画と販売をアップルで行い、クルマの開発や生産は丸投げするというもの。ここまで読んで「どこかで聞いた話だね」と思うかもしれない。ソニーホンダです。
ソニーはホンダにアレコレ指示を出し、ホンダが「承知しました」と開発し、ホンダの工場で生産してソニーのブランドイメージで売るという戦略。ソニーの魅力と技術を上乗せすることでホンダブランドだと500万円のクルマを1000万円で売ろうという目論見だ。
アップルカーと似ている。違いは価格帯。アップルカーではiPhoneを買うような幅広い顧客を狙った。
折しも三菱自動車は破綻寸前、マツダも低迷していた。そのほか、マレーシアのプロトンなど厳しい状況だった。もちろん、中国の自動車メーカーにも白羽の矢が立つ。どのメーカーがアップルカーを請け負うのかと盛り上がった。
■すでに2023年春の時点でほぼ破綻していた?
アップル、どうやらホンダや日産、トヨタにも話を持ち込んだようだ。面白いことにトヨタとホンダは一蹴した模様。iPhoneを見ればわかります。
iPhone、部品は買い叩かれ、労働コストの低い国で作る。大もうけするのはアップルだけ。iPhoneを作っているメーカー、皆さんは考えたこともないだろう。アップルはクルマもiPhoneと同じような商品にしたかったし、実現できると考えたようだ。
ところがどっこい! 自動車メーカーからすればアップルの考えなど見え見え。トヨタとホンダが一蹴したのは当然だ。 「検討します」と返事した厳しい業績のメーカーもあったようだけれど、最終的にすべて「ノー」となる。
中国や韓国のサムスンなども候補に上がったが、これまたまとまらず。「だったら破綻しそうなメーカーを買収して自社開発だ」みないなことも考えたそうだけれど、2024年に発売というスケジュールは延び延びになってしまう。ギョウカイの噂話だと、2023年春の時点で「打つ手なし」だったらしい。
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