ホンダが茨城県常総市にて実証実験を開始したCIマイクロモビリティ。CIとは「ユーザーや周囲の人と協調しながらユーザーを支える人工知能」だという。2つの「人を支える」マイクロモビリティでホンダが地域の活性化を目指す!!
※本稿は2024年2月のものです
文/編集部、飯干俊作、写真/編集部、Honda
初出:『ベストカー』2024年3月26日号
■「マイクロモビリティ×AI」で人にやさしく
ホンダが茨城県常総市と協力してCIマイクロモビリティの実証実験を始めた。(CI=Cooperative Intelligence=協調人工知能。ホンダでは「ユーザー、周囲の人と協調しながらユーザーを支える人工知能」と説明している。AIはホンダ内製)
拠点となるのは「アグリサイエンスバレー常総」。エリア内に全国3位の来場者数を誇る「道の駅常総」が入る大規模施設で、新たなテクノロジーでの街づくりを進めているところ。マイクロモビリティで地域の活性化を目指すホンダと、志を共にしている。
実証実験を行うのは搭乗型マイクロモビリティのCiKoMA(サイコマ)とマイクロモビリティロボットのWaPOCHI(ワポチ)で、サイコマは人を運び、ワポチは荷物を運ぶ電動自動走行モビリティだ。それぞれの特徴は以下のとおり。
●サイコマ
高精度地図ではなく、人間と同じようにカメラ(眼)で状況を見て、AIが判断して自動走行する。乗員はスマホの専用アプリで呼び出して乗車し、行き先を指定して、降りたら乗り捨てできるというもの。途中で降車地を変更することもできる。
つまりはタクシーと同じような使い方ができるということで、人とサイコマは対話やジェスチャーでコミュニケーションを取れる。
一般のお客さんを乗せて走る実証実験では安全監視員が同乗するが、操縦は自動。2025年中の無人自動走行を目指している。
●ワポチ
ユーザーの特徴を記憶し、荷物を載せて歩行をサポートするモビリティロボット。
歩くことが健康寿命の長さに繋がっていることはデータで実証されており、実際、「荷物がなければ健康のためにも歩きたい」という高齢者は多い。その願いをサポートしてくれるマイクロモビリティだ。
ユーザーの追従も先導もでき、先導の場合は人混みをうまく掻き分け、後方にいるユーザーの歩き方をカメラで見て進行方向を推定しながら動く。
また、止まれや方向指定などのゼスチャーなども認識して対応する。イメージとしては「荷物を持って一緒に歩いてくれるペット」で、これは嬉しい。
■既存の街のどこでも使えるモビリティ
サイコマの「コマ」は仔馬のことで、ワポチの「ポチ」はペットの犬を表現したネーミング。このフレンドリーな名前の付け方からもわかるとおり、ホンダは道路を行き交う歩行者やバイク、クルマと協調して安全に走る自動マイクロモビリティを作ろうとしている。
また、重要なポイントは前述のとおり高精度地図を使わずに、それを実現しようとしていることだ。
つまり、自動走行モビリティに特化させて作る新しい街だけでなく「既存の街のどこでも使えるモビリティ」を目指しているということ。常総市での実験は、その第一歩というわけだ。
この実証実験は多くの人に使ってもらい、フィードバックを得るのが目的。また、その価値を知ってもらう役割もある。走り始めたばかりの「仔馬」と「ポチ」が優しい未来を作っていく。
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