クルマのモデルチェンジサイクルは車種によって異なる。そして世の中には、長期間モデルチェンジをせずに販売が続く車種もある。今回はそうした隠れ(?)ロングセラーのクルマを見ていこう。
文/長谷川 敦、写真/トヨタ、日産、三菱
■どうしてモデルチェンジをしないのか?
近年ではクルマのモデルチェンジサイクルが長めになる傾向があるが、これにはいくつかの理由が考えられる。
まずは個々のクルマの耐久性が上がっていること。技術の進歩により、最近ではクルマの長寿命化が著しい。これは材料と設計の両面において耐久性が高まっているから。
この進歩は歓迎すべきものだが、結果としてオーナーは劣化しない愛車に乗り続けることになり、それが買い換え需要の減少=モデルチェンジサイクルの長期化を招いている。
そして経済的な事情も見逃せない。バブル景気が華やかなりし頃、国内メーカーは次から次へと新車をデビューさせ、モデルチェンジも頻繁に行われた。
だが、経済が低迷するとユーザー側に買い換えの余裕がなくなり、メーカーも好景気の時のように開発費を注ぎ込めない。
これらの理由により、昨今はモデル寿命が延びている。
とはいえ、多くの車種はある程度の段階でモデルチェンジが断行されるのも事実。それがクルマの進歩と市場の活性化につながる。
今回紹介するのは、こうした流れに関係なく、かたくなに同じスタイルを維持し続けるクルマたちだ。いったいどんなモデルがあるのだろうか?
■質実剛健なロングセラー2車種
■トヨタ ハイエース
トヨタのハイエースは日本を代表する商用車両のひとつであり、その便利さに注目して乗用車にしている人も多い。現行型のH200系ハイエースが登場したのが2004年で、海外では2019年に新モデルのH300系が登場したものの、日本国内ではH200系が現役モデルとして頑張っている。
H300系は、日本国内ではハイエースではなくグランエースの名称で販売されているが、H200系がキャブオーバー型であるのに対してH300系はセミボンネット型と、ボディの形状が異なっている。
これは、キャブオーバー型のほうが商用車として使い勝手がいいという理由があり、現在でもH200系がコンスタントに売れているためにモデルチェンジしづらいといった事情もあるようだ。
ハイエースシリーズでは5代目にあたるH200系も先代登場から15年ぶりのモデルチェンジであったが、登場20周年を現役で迎えることになった。近々国内向けハイエースのフルモデルチェンジが行われるというウワサもあるが、メーカーからの正式発表はまだない。
先代を上回るロングセラーとなったH200系ハイエースは、これからも世界中の道路で人々や物資を乗せて走る姿を見せてくれるだろう。
■三菱 デリカD:5
三菱自動車のミニバン、デリカD:5もまた、長年にわたって愛され続けているロングセラーだ。
それまでのデリカスペースギアに代わるD:5が発表されたのが2005年。スペースギアがパジェロベースのモデルだったのに対し、D:5はSUVのアウトランダーのプラットフォームを利用していた。車名である「D:5」の由来は「デリカの5代目」で、2007年1月から正式販売がスタートした。
当初は4WDモデルのみだったD:5だが、2007年5月には2WD(FF)仕様も登場し、ラインナップの拡大が実施された。そして2019年には外観が大きく変わるビッグマイナーチェンジが行われた。
このマイナーチェンジではダイナミックグリルと呼ばれる新型フェイスが採用され、同時にエンジンがディーゼルのみに絞られた。
フルモデルチェンジに近い変更ながら型式は変わらず、デリカD:5は2007年のデビューから三菱のミニバンを代表する車種として活躍している。
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