■トルクを考えればEVは外せない
(TEXT/片岡英明)
流して走っても楽しいクルマといえば、外せないのはやはりEVになるだろう。エコで電費もいいうえ、モーター特有の強大なトルクで瞬発力のあるスタートもできる。
例えば、箱根にEVで出かける場合、行きは上り中心で、回生をできるだけ多く行い、帰りは下りのコース選びをゲーム感覚でできる。別に飛ばさなくても別の楽しみ方があるワケだ。
まずはリーフ。運転もワンペダル走行で左足を使わずにすむし、ブレーキパッドも減らないし、疲労度はふつうのガソリン車よりも少ない。ゆっくり走ることの楽しさがダイレクトに伝わるクルマだと思う。
続いてはスペーシアギア。このクルマはテレビCMで流れるイメージに近く、家族で乗り込んでゆっくりほんわかと流して走ることが楽しく、アウトドアでも絵になる感じ。
走っていても街中でのゴー&ストップすら楽しくなる。目を三角にして走るのとはまったく違った価値観を提供してくれるクルマだ。
最後がジムニー。このクルマに関してはオンロードではなくオフロードが対象になるけど。30km/hも出ていれば充分。雪道を含めて低速で走り回るのがこのクルマならではの醍醐味だ。
■ミドシップから考えればS660 A110!
(TEXT/岡本幸一郎)
まず、ミドシップレイアウトがゆっくり走っても楽しいクルマの条件になると考える。
フロントに重量物のない素直な回頭性、そして逆にリアにエンジンなど重いモノが搭載されていることで、トラクションの塊といった感じの独特の運転感覚が味わえること。
ボクがそんな条件から真っ先に思い浮かぶのはS660。
MTでもCVTでもいいんだけど、小さくて軽いMRのスポーツカーって世界中でこれ1台しかない。しかもオープンも味わえる。乗っているだけでハイな気分になれる希有な1台だと思う。
オモチャ感もあるのはコペンも同じような感じだけど、あちらはFF車。S660は自分のシート後方からエンジン音が聞こえてきて、唯一無二のオリジナリティが感じられる。
街中の交差点で曲がっていく時、自分を軸にして回転していく感覚はミドシップならではのもので、ハンドリングのよさも特筆される。
それとアルピーヌA110。これもミドシップで全体的な完成度がとにかく高い。
乗り心地がよくて高い快適性を誇りながら、実にスポーティなハンドリングで安定感も抜群。足回りの快適性セッティングは箱根のターンパイクを走らせると、ポルシェ718ボクスターやロータスエクシージよりも個人的には上だと思う。
最後にもう1台挙げるならミドシップからは外れるけどEVのリーフ。低速域のアクセルレスポンスはガソリン車よりもリニアで、前後重量配分にこだわったEVだからハンドリングのよさも嬉しい。
■GT-Rはゆっくりでも愉し
(TEXT/石川真禧照)
そもそもゆっくり走って楽しいということは、速く走らせても楽しいということの裏返しになるワケで、わざとのんびり走って楽しいクルマは両方とも楽しめるクルマだと考えている。
そんな観点から選べばGT-Rは外せないだろう。
確かにめちゃくちゃスピードが出るクルマではあるんだけど、逆に言えばそんなにスピードを出さなくても楽しいと思う。なぜか。それは楽しいと思う価値観を少し変えた視点で見ると変わるから。
例えば、GT-Rを運転している自分の姿を周りから見られていると考えたらどうか。自分ひとりで運転している姿が街のショップのウィンドウに映っていたらどうか。
ま、ちょっとナルシシズムが入ってしまうかもしれないが、そんなことを考えていたら都心の一般道をゆっくりと走るだけでも楽しくなるはずだ。
国産だともう1台がデミオの6MT車。ディーゼルでもガソリンでもMT車が設定されているけど、1~2速でコーナーを抜けていく楽しみがある。
街中でのS字走行にピッタリのボディサイズでもある。昔のディーゼル車はMT車だと回転の落ちが早かったから運転しづらい面もあったけど、今のディーゼルならまったく問題ない。
最後に輸入車のBMWミニコンバーチブル。これぞ、飛ばさなくても楽しめる輸入車の筆頭格。
というのも、まずはミニであるということが非常に重要で、クルマ好きじゃなくてもミニは知られていて記号化されている。横に女の子を乗っけて、天気が晴れていればオープンにしてゆっくり走るだけで、会話も弾むというもの。
コメント
コメントの使い方