デカすぎ……レクサスLMは48インチのディスプレイ採用!! もう「高級車=セダン」は時代遅れ? 高額なミニバンやSUVが登場するワケ

デカすぎ……レクサスLMは48インチのディスプレイ採用!! もう「高級車=セダン」は時代遅れ? 高額なミニバンやSUVが登場するワケ

 少し前までは「高級車=セダン」だった。しかし最近では高級に対する価値観の違いからか、セダンより走りは劣るけど室内空間が超快適なレクサスLMなど、セダン以外の高級車も登場してきた!! 今回は形が異なる高級車4台をチェックしていこう。

※本稿は2024年4月のものです
文/渡辺陽一郎、写真/ベストカー編集部、撮影/奥隅圭之、モデル/ゆづ
初出:『ベストカー』2024年5月10日号

■1500万~2000万円級はあたり前!! 現代の高級車とは?

2023年9月に公開された“新型”センチュリーはセダン型から脱却した車体形状を採用。セダン型も併売される
2023年9月に公開された“新型”センチュリーはセダン型から脱却した車体形状を採用。セダン型も併売される

 高級車の主力は長年にわたりセダンだったが、この背景には明確な理由がある。高級車では上質な内外装、快適な乗り心地と座り心地、優れた静粛性が大切で、その達成にはセダンが適しているからだ。

 セダンは天井が低く重心も下がるから、前後左右に振られにくい。後席とトランクスペースの間には骨格や隔壁が配置され、ボディ剛性も確保しやすい。後輪はトランクスペースの部分に位置するため、タイヤが路上を転がる時に発する騒音も居住空間に入りにくい。

 この高級セダンの魅力が最もわかりやすい日本車はセンチュリーセダンで、駐車場から路上に降りる時の段差も柔軟に受け止める。走行音は小さく、車外の喧噪もほとんど聞こえない。

 その点でミニバンのレクサス LMやSUVのアリアは、センチュリーセダンに比べて乗り心地や静粛性で少し見劣りする。

 LMは直列4気筒2.4Lターボハイブリッドを搭載するから、登坂路などでアクセルペダルを深く踏んだ時など、4気筒特有の少し粗いノイズが響く。タイヤが路上を転がる音も若干耳障りだ。乗り心地も時速40km以下では、19インチタイヤの硬さを意識する。

 たしかにミニバンとしての快適性は極上で、ベースとなったアルファード&ヴェルファイアとの違いも明らかだが、ほぼ同価格のセンチュリーセダンには上質感ではかなわない。

 アリアはEVだからエンジン音は聞こえないが、タイヤが路上を転がる音と乗り心地はセンチュリーセダンに劣る。以上のように高級車の分野ではセダンに確固たる優位性があり、時代遅れのカテゴリーではない。

■セダンとは味わいが違う高級ミニバン

レクサス LMから下車し民衆に手を振るアカザ―王子の図。パーティションで仕切られた後席空間は、まさにプライベートスペース
レクサス LMから下車し民衆に手を振るアカザ―王子の図。パーティションで仕切られた後席空間は、まさにプライベートスペース

 そこを踏まえた上でレクサス LMとアリアを見ると、セダンの高級車とは違う価値として車内の広さがある。

 特にレクサスLMは、今のところ2列シートの4人乗りだから、後席が抜群に広い。48インチの大型ディスプレイが備わり、足を伸ばして乗車できる。自動運転が実用化されると、このような移動を1人で楽しめるのかもしれない。

 アリアはEVだから将来の高級車を予感させる。モーター駆動は静かで加速も滑らかで高級車らしさを盛り上げる。

■BMWの超高級セダンにも試乗!

BMW i7はBEVのVIPセダン。全長5390mm、全幅1950mm、全高1545mmのボディは堂々たるサイズで、大きなキドニーグリルと相まって、もの凄い存在感だ。高級車の世界にもEV化は必須なのか!?
BMW i7はBEVのVIPセダン。全長5390mm、全幅1950mm、全高1545mmのボディは堂々たるサイズで、大きなキドニーグリルと相まって、もの凄い存在感だ。高級車の世界にもEV化は必須なのか!?

 今回はEVのBMW i7も試乗した。ベースはLサイズセダンの7シリーズで、試乗車はM70xドライブだから、前後に配置されたモーターのシステム最高出力は659ps、最大トルクは103.5kgmに達する。後者は3Lターボを搭載する740iの約2倍だ。

 モーターはアクセル操作に対する反応が機敏だから、アクセルペダルを踏み込むと蹴飛ばされたように速度を急上昇させる。停車状態から時速100kmまでの加速タイムも3.7秒で、GT-Rなどに近いが、i7はEVだから無音に近い状態で物凄い加速を行う。エンジン車とは異なる恐怖に近い感覚を味わった。

 動力性能をここまで高めると、走行安定性とのバランスが重要だが、i7では出力が過剰な印象はない。前後のモーターが出力を機敏に増減させ、4輪の駆動力を綿密に自動制御するからだ。

 車両重量は約2.7トンだが、ボディや足まわりが熟成され、4輪の接地性が高くカーブを曲がる時もボディの重さを意識させない。ステアリング操作に対する反応も正確で、車両との一体感も味わえる。これもセダンボディの恩恵だ。

 センチュリーセダンは快適性を徹底的に高めたが、i7は走行安定性を向上させた。内外装は装飾が過剰で、BMWなのに落ち着かない印象を受けたが、試乗を開始するといつもの運転感覚が蘇る。

 よし悪しは別にして、アリアとキックスには共通性は希薄だが、3シリーズとi7にはそれがある。ブランドを重視する開発姿勢だ。

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