2019年も7月末時点までで、RAV4やマツダ3、eKワゴンといったさまざまなニューモデルが登場。なかでも話題の新車が、17年ぶりに復活したトヨタの新型スープラだ。
久々の国産スポーツとあって注目度は高いが、果たして新型スープラは好敵手を上回る実力を持っているのか?
2Lエンジン搭載という意味では同じフィールドの86を始め、フェアレディZや姉妹車のBMW Z4など、同門から国産輸入のライバルまで、計5台との直接対決を自動車ジャーナリストの斎藤聡氏が判定する。
文:斎藤聡
写真:編集部
ベストカー 2019年8月10日号
競合車比較…の前に新型スープラの魅力は?
最大の魅力はハイパワーFRであるということ。前後重量バランスがよく、ホイールベース、トレッド、重心高がよく考えられ、クルマの素性が素晴らしくよくできている。
チューニングの要となっているのは、電子制御デフのセッティング。市販モデルは(プロトタイプに比べ)グッとマイルドになっていて、低速域では軽快に、高速域では落ち着きのある味付け。
リアの滑り出しの挙動も比較的穏やかで、限界域のコントロール性を重視した味付けも好ましいところ。
もうひとつ、エンジンのアクセル操作に対する応答の精度感が高く、特にRZは滑らかに回る直6のフィーリングと相まって格別の存在感がある。
トヨタ&レクサス同門対決でスープラは優勢?
■レクサス RC350 VS スープラ(RZ)
ちょっと大げさに言うと、共通点がハイパワーFRというだけで、別種類のクルマ。……というくらいの違いがある。
RCもよくできたFRだと思うが、スープラはより躍動的というか、ドライバーとの距離感が近い。走る・曲がる・止まるという運転操作の一体感が強く感じられる。
その意味でスポーツカーとしてより深いところまで足を踏み入れて作られているように思う。
RCは乗用車をスポーツカー風に仕立てた感じ。RCがダメなのではなくスープラが別格によいということ。
■トヨタ 86(GR) VS スープラ(SZ)
プレミアムな86がいいか、スープラの廉価版がいいかという比較。また、MT対ATという見方もできる。
冒頭に廉価版のスープラと書いたが、実はアクティブデフのない素の操縦性もスープラはとてもよいのだ。
86 GRは、サスペンション+タイヤチューンによって、その走り味がぐっと洗練され大人のスポーツカーといった味わい。このクルマをMTを駆使して走る楽しさは格別だ。
どちらがよいか悩ましいが、32.7kgmのトルクで自由自在な走りを可能にしているスープラSZがいい。
国産の好敵手と比べてスープラの実力は?
■日産 フェアレディZ NISMO VS スープラ(RZ)
シャシーの新しさ、ナチュラルな操縦性、そしてピックアップのいいエンジン。どれをとってもスープラRZのほうが上。
Zが勝っているのは355psのパワーのみ。最大トルクもZ NISMOは38.1kgmで、RZの51.0kgmに遠く及ばない。データはほぼすべてスープラRZが優れていることを示している。
けれども、Z NISMOはチューンドエンジンの鋭さ、足回りを引き締め、ボディ回りを補強することで作り出された独特の熱があり、それが捨てがたい魅力。MT指定でZ NISMOがいい。
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