[独占&歴史的スペシャルインタビュー]2013年の衝撃!! 元R35GT-R開発責任者水野和敏氏が語った日産退社の真相とGT-Rへの思い

■3年あれば今のGT-Rを超えるクルマを作ってみせますよ

【BC】水野さん、今後もクルマ作りに携わっていかれると思いますが、もう青写真とか、おありなんですか?

【水野】もちろんありますよ。すべてのカテゴリーを今後どう作り替えていくかって一年中考えていますよ。私はプロのエンジニア、つまりお客様の要求と夢に責任を持っているから。

【BC】最も変わらないカテゴリーが軽自動車だと思うんですが、軽自動車を作ることもあるんですか?

【水野】ロールスロイスと軽自動車は何が違いますか? 大きさだけでしょう? 5000万円と100万円で基本構成と作り方が同じというのはおかしくないですか? もし俺が作るとすれば軽自動車の構造の本質をかえちゃうよ。軽自動車は値段が高すぎると思います。それはロールスと同じ手法で作るから高くなるんですよ。アウタースケールで考えると、それがおかしいと気づくわけです。

【BC】えっ! 頭の中にもうあるんですか?

【水野】ありますよ。すぐにでも始められますよ。どの技術を持ってきて、乗り心地や操安だ、燃費はどうだ、衝突安全性……すぐに出せますよ。GT-Rの開発で軽自動車やコンパクトカーにも応用できる技術開発部分を持っているんですよ。

【BC】例えば、どこかのメーカーから、GT-Rを超えるクルマを作れというオーダーがきたら作れますか?

【水野】カンタン、3年で作れます。R35のチームの人に聞いてもらえば誇張でもなんでもないことがわかると思います。

【BC】それはどのメーカーだと可能ですか?

【水野】トヨタさんのレクサスレベルの技術と精度があれば3年くらいでものにしますよ。

【BC】レクサスですか? 水野さんがレクサスで1000万円のスポーツカー作ってGT-Rをぶち抜くって超面白い!

【水野】ベストカーから推薦してみてよ。いや、それは冗談だけど、何でトヨタかっていうと、俺の究極の目標は「ドイツ車」というナショナリティブランドがあるように、日本という価値あるナショナリティブランドのためにクルマ作りをしたいし、それが最後は力を持つんですよ。同じ価値観、同じ思想でもの創りができる強さがあるからです。

【BC】なるほど、確かにトヨタは他社に比べると日本にこだわって、技術や人を大事にしていますよね。

【水野】日本という国のブランド作りをしながら世界でトップ争いをしている、それが今後の真のグローバル戦略なんです。これはごくごく個人的な思いなんだけど、今どこで仕事をしたいかって聞かれると、レクサスが最も近いかな。あそこでメルセデスやBMWやポルシェを完全に超える世界最高のブランド作りができると思うのは、エンジニアとしては自然な気持ちだと思うよ!!

【BC】水野さん、FA宣言ですか!?

【水野】これは言ってみればプロ野球の選手がゆくゆくは巨人で野球やりたいという気持ちと共通したものかもしれない、世界一を目指そうとすればね!! もちろん実現するかしないかは別の話だけれどね。

【BC】ベストカーとしては、2年半後、2015年の東京モーターショーで水野さんが作ったレクサスのスーパーカーと日産のR36GT-Rがともに出展されることを期待したいですね。水野さん、お忙しいところ本当にありがとうございました。

アタマはクルマ作りのことでいっぱいだという。水野さんが軽自動車を作ったらどんなクルマができ上がるのだろう?
アタマはクルマ作りのことでいっぱいだという。水野さんが軽自動車を作ったらどんなクルマができ上がるのだろう?

■取材を終えて

 水野さんがGT-Rの開発から外れ、水野さんの作ったR36が見られなかったことは残念だが、きっと数年後には水野さんが作ったクルマが再び世に出てくるはず。

 水野さんの話は示唆に富んでいたが、これを機会に今後クルマ作りをどうすべきかや自動車業界がどうあるべきかについて、ジャーナリストやエンジニアが読者の皆さんと直接討論する企画をやりたいと思います。もちろん水野さんにもご登場願おうと思います。御期待ください。

◆水野和敏(みずのかずとし)……1952年長野県生まれ。1972年日産自動車に入社し、P10プリメーラやR32スカイライン等のパッケージングの設計を担当し、V35スカイラインではCVE(車両開発主管)を務める。R35GT-Rの車両開発責任者として全権をまかされ、日本車として初めて世界に通用するスーパーカーの地位を手に入れた。2013年3月31日をもって日産自動車を退社。

(写真、内容はすべてベストカー本誌掲載時のものです)

水野さん直筆サイン
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