【カーエアコンの最も効率がいい温度設定は?】燃費がいいのはどの温度?

家庭用エアコンとカーエアコンは大違い!

 カーエアコンの仕組みを知れば、意外な事実にちょっと驚くかもしれない。この時期でもカーエアコンは実は暖房を利用しているのだ。

 この時期に暖房なんて使わない、と思う人もいるだろうが、実はエアコンの温度調整には冷房と暖房が組み合わされている。

 というのも、冷房だけでは細かい温度調整をすることは難しく、暖房を微調整のために利用しているのである。

 その暖房や温度調節にはエンジンが発する熱が利用されているから、タダだけれども、実は燃費を考えるとエコではない。カーエアコンの仕組みを理解してもらえれば、冷房をもっと効率よく使いたいと思うハズだ。

 まずカーエアコンは、家庭用のエアコンとは似て非なるものであることを認識する必要がある。

 といっても冷房に関しては、基本的な仕組みは同じだ。冷媒(熱を伝えるための素材)を圧縮し、冷却した後に放出すると圧力が下がることで温度が下がる。

 これによって周囲の熱を奪う現象を利用して、熱交換機で空気を冷やし、熱交換機が結露することによって除湿を実現している。

 これらのエアコンの冷媒にはオゾンホールを破壊するフロンガスの代わりに代替フロンと呼ばれる、いくつかの冷媒を使っている。これはこれで温室効果があるガスなので、大気に放出するのはダメだが、本来冷媒はエアコンがダメになるまで使い続けられるものだ。

 家庭用や業務用のエアコンでは、暖房時には熱交換のサイクルを逆転させて冷えた冷媒を外気で暖めてさらに圧縮することで暖房用の熱を作り出している。

 しかしEVを除くクルマの場合、エンジンが発生する大量の熱を捨てている事情があり、暖房にはそのエンジンの冷却水を利用している。

 暖房を使うのはクルマにとって非常に効率のいい排熱利用なのである。ところがヒーターではなく、カーエアコンとなると少々事情が違ってくる。常に一定の室温に保とうとすると、冷やした空気を適温にまで暖める必要があるからだ。

 つまり、冷房で冷やした空気を、わざわざ暖房で暖め直して適温にしているのである。

 風量も自動調整にしているなら、室温が設定温度に近付けば冷媒の圧力を下げて冷房の効きを弱めるが、それでも暖房を組み合せて温度を調整しているのは変わらない。

 ほぼ室温に近付けば、暖房を止めて冷房を弱くするオートエアコンもあるが、真夏は室温を一定に維持するためにはかなり冷房を強くする必要があり、吹き出す冷風を調整するためにはヒーターも併用しているというわけだ。

 クリーンディーゼルなど低速トルクが強いエンジンは、エアコンのコンプレッサーによる燃費への影響は少ないが、ガソリンエンジンなら影響は少なくない。軽自動車やコンパクトカー、それに少し前のクルマならエアコン使用の有無で燃費が1割くらい変わってくるハズだ。

メーカー推奨の最も効率のいいエアコンの温度設定は?

車内の温度設定を外気と同じ25℃に設定した場合、エアコンスイッチをONにしたままだと12%程度燃費が悪化するというデータも出ている
車内の温度設定を外気と同じ25℃に設定した場合、エアコンスイッチをONにしたままだと12%程度燃費が悪化するというデータも出ている

 メーカーが推奨する最も効率のいいオートエアコンの設定温度は何度なのか?世界8カ国の開発拠点と78の生産拠点を有する「カルソニックカンセイ」の見解(2017年8月10日広報資料)では、日本車は「25度」、欧州車は「22度」が温度設定の中心のため、この温度を基準にすることをオススメするとのこと。

 つまり、これが製造メーカーの推奨する最も効率のいい設定値というわけで、これを基準に状況に応じて上下させるとよいだろう。

次ページは : 暖房を使わずに冷房だけにすることで燃費の改善が図れる

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