なぜ[シエンタ]が年間登録車販売ナンバーワンなのか? 実は[フリード]との間にも明確な違いがあった!!

■価格の安さもシエンタの武器

シエンタのインパネ。明るく開放的なイメージに仕立てられている
シエンタのインパネ。明るく開放的なイメージに仕立てられている

 シエンタが好調に売られる理由として、価格の安さも挙げられる。中級グレードの「ハイブリッドG」(7人乗り)は、衝突被害軽減ブレーキ、運転支援機能、低速域で衝突被害を軽減させるパーキングサポートブレーキ、後方の並走車両を検知するブラインドスポットモニター、両側スライドドアの電動機能などを標準装着して、価格は272万7500円だ。

 ノア「ハイブリッドG」(7人乗り)の価格は、シエンタハイブリッドGよりも約60万円高い332万円だ。しかもアルミホイールは標準装着するが、ブラインドスポットモニターと右側スライドドアの電動機能は、シエンタハイブリッドGと違って標準装着されずオプション設定になる。このようにシエンタは、ノア&ヴォクシーと比べて、買い得度でも明らかに上回る。

 言い換えればシエンタは、ノア&ヴォクシーの大きく見える外観、主力グレードが300万円を超える価格などを敬遠するユーザーを視野に入れて開発された。実際にシエンタは狙いどおりの役割を果たして、好調に売られているわけだ。

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筆者と2024年6月登場の新型フリード

 そしてこの特徴は、唯一のライバル車とされるフリードとの競争でも有利になる。特に新型フリードは前述のとおりボディを拡大させ、外観の見栄えも立派になった。価格も先代型に比べると、装備の違いを補正して10万円ほど値上げされている。

 シエンタ「ハイブリッドG」(272万7500円/7人乗り)に相当するフリードは、e:HEV 「AIR EX」(304万7000円/7人乗り)だ。フリードe:HEVAIR EXには、シエンタハイブリッドGが備えていないアルミホイール、前席シートヒーター、後席クーラー、本革巻きステアリングホイールなどが備わるが、価格差はさらに大きく約32万円に達する。

シエンタの前席シートと2列目シート
シエンタの前席シートと2列目シート

 シエンタはフリードに比べて価格が安く、燃費も優れ、運転しやすい印象がある。フリードは価格が高い代わりに、外観が立派で2列目にはセパレートタイプのキャプテンシートが用意され、ミニバンらしさが濃厚だ。両車ともコンパクトミニバンだが、コンセプトやターゲットにしているユーザーが異なるため、今後も共存が可能だろう。

■トヨタとホンダで自社銘柄との棲み分け方が違う

シエンタの場合、同じトヨタ車のクラスが違うカテゴリーのモデルとはかぶらないように絶妙に棲み分けしていると筆者は分析
シエンタの場合、同じトヨタ車のクラスが違うカテゴリーのモデルとはかぶらないように絶妙に棲み分けしていると筆者は分析

 注目されるのは、同じメーカーが用意するミニバンとの関係だ。フリードは立派な外観やキャプテンシートを備えるため、ステップワゴンと競争する可能性もある。対するシエンタは、前述のとおりノア&ヴォクシーとは商品特性を明確に分けている。

 ここがトヨタと、ホンダを含めた他社との大きな違いだ。トヨタは車種を豊富に用意するから、コンセプトや価格が重複しやすいが、ラインナップを見ると巧みに区分している。これはセダンが全盛だった時代から続くトヨタの伝統だ。

 カローラ/コロナ/マークII/クラウンでは、車内の広さや走行性能だけでなく、見栄えや質感、存在感、ターゲットユーザーが明らかに違っていた。同様のことがシエンタ/ノア&ヴォクシー/アルファード&ヴェルファイアにも当てはまる。

 トヨタ車は身内との共存や繁栄も考慮して開発され、国内で登録される小型/普通車の約50%を占めている。

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