■タッチパネルは安全運転に反する
話は変わりますが、欧州の新型車認証をしている機関が最近言い始めたことがあります。タッチパネル式で操作性が劣るものは認証で減点するのです。機械的なスイッチを安全運転で推奨しているのです。
例えばテスラ。インパネセンターに配置された大型タブレット状のモニター画面上にあらゆるスイッチ類を集約しています。
従来型ではシフト操作やウインカー、ワイパーなどは物理的なレバースイッチでしたが、ヘッドライトの強制的なオンオフやドライブモードの切り替えなどはこのタッチスクリーンで操作します。
たしかにヘッドライトはシステム起動時に「AUTO」モードに自動設定され、通常はオンオフの操作を必要としないかもしれません。
しかし、運転中とっさにヘッドライトを点灯したいような場面で、タッチスクリーンを操作してヘッドライトを点灯させるのは非常に難しいし、なによりもタッチスクリーンに視線が奪われたり、操作の確認を強いられて運転視界がおろそかになり危険性が増します。
テスラはEVを専門にする新興メーカーで、こうした新しさを強調することで存在感を示すという狙いもわからなくはありません。
しかし、伝統的な自動車メーカーのブランドであるボルボの最新モデル、EX30はどうでしょう?
運転席に座るとステアリング越しのインパネにはなにもありません。速度計すらないのです。
なんとEX30の速度計はインパネセンターに配置された、スマホを少し大きくした画面に表示されます。
公道の自動車運転で重要な速度計が、センターに配置されたスマホのような画面の一部で表示。優先度の高い速度を難解な表示とする。これは理解ができません。運転する人が作ったとは思えないメーターの表示です。
夜間の高速走行や視界が遮られる雪や雨の走行などを想定できる人なら、速度計をあのような見づらい場所に表示することはしません。
しかもスマホ型のモニターに表示される速度計の文字は小さくて読みにくい。ACCをセットして走るから今や速度計は重要でないというのでしょうか?
私はR35GT-Rを開発する際、メーターパネルの文字や表示は徹底してこだわりました。文字のサイズや色遣い、書体も専用品です。小雨のアウトバーンを300km/hで走りながらパッと目をやっただけで確実に視認できるメーターを造りました。
しかし、最近のクルマでは細く読みにくい書体のメーターが増えました。メーターは走りながら確認するのですから、ドライバーが注視して読むのは危険です。パッと視線をやっただけで直感的に必要な情報が読み取れなくてはダメです。
このように、運転席回りのメーターや各種操作系の配置やデザインは前方の運転視界に影響してドライビングに大きな影響を与ます。自動車メーカーはもっと真摯に安全な操作系やメーターレイアウトに取り組むべきです。国交省や自工会が率先して早急に規格を策定する取り組みが必須だと私は思います。
■自動運転のレベル分け
●レベル1
・運転支援/システムが前後、左右いずれかの車両制御を実施
【例】自動ブレーキ、ACC、レーンキープアシスト機能など
●レベル2
・レベル1の機能を組み合わせた機能
【例】レーンキープ+ACCなど
・特定条件下での自動運転機能
【例】高速道路で前走車を自動で追い越す
●レベル3
・条件付き自動運転/システムがすべての運転タスクを実施するが、ドライバーがいつでも運転を引き継げること
●レベル4
・特定条件下における完全自動運転
●レベル5
・完全自動運転
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