テリーさん快哉! 「オレたちのホンダ」が帰ってきた! 4代目フィット試乗プレイバック 【テリー伊藤のお笑い自動車研究所】

テリーさん快哉! 「オレたちのホンダ」が帰ってきた! 4代目フィット試乗プレイバック 【テリー伊藤のお笑い自動車研究所】

 ベストカー本誌で30年も続いている超人気連載「テリー伊藤のお笑い自動車研究所」。過去の記事を不定期で掲載していきます。今回はホンダ 4代目フィット(2020年-)試乗です!(本稿は「ベストカー」2020年6月26日号に掲載した記事の再録版となります)

撮影:西尾タクト

■4代目フィットは私たちが愛していたかつてのホンダの復活を予感させてくれる

ホンダ フィットe:HEV HOME(電気式無段変速・206万8000円)。今年2月に発売された新型フィット。今回はその1.5L 2モーターハイブリッド(e:HEV)のHOMEグレードに試乗した
ホンダ フィットe:HEV HOME(電気式無段変速・206万8000円)。今年2月に発売された新型フィット。今回はその1.5L 2モーターハイブリッド(e:HEV)のHOMEグレードに試乗した

 新型フィットを見て「俺たちのホンダが帰ってきた!」と叫んでしまった。

 レストランが「俺のフレンチ」、「俺のイタリアン」なら、クルマは「俺たちのホンダ」なのだ。

 私の若い頃、ホンダ車は憧れの存在だった。N360やS600、S800、ホンダ1300など格好いいクルマが次々と登場し、当時の若者たちの心をつかんだ。

「いつかはクラウン」ではなく、「いつかはホンダ」。私もワンダーシビックと呼ばれた3代目シビックに乗っていたものだが、とても気に入っていた。

 今の若い人たちはトヨタなどの日本の大企業よりもアップルやグーグルなどに就職したがるが、かつてのホンダはそういう先端イメージの会社だった。

 皮肉なことに、成長し、大きくなるほどホンダは普通の会社になっていった。そして今や、昔を知らない世代には「軽自動車のメーカー」と思われてしまっている有り様だ。

 私にとって、ホンダ車にはいい意味で「シンプルなクルマ」というイメージがある。

 いや「あった」というべきだろう。

 いつの頃からか外観も内装もゴテゴテのクルマが増えてきて、シンプルというイメージからほど遠いクルマばかりを作るメーカーに変わってしまった。ホンダにいったい何があったのだろうか?

「シンプル・イズ・ベスト」のホンダが甦った!
「シンプル・イズ・ベスト」のホンダが甦った!

 と、近年のホンダへの愚痴は止まらないわけだが、そんななか新型フィットは私たちが愛していたかつてのホンダの復活を予感させてくれた。

 こざっぱりしていて、整理整頓が行き届いた部屋のようなクルマ。

 昨年秋の東京モーターショーで見た時から気に入っていたが、今回の取材で確信した。これこそかつてのホンダが作っていたクルマだ。

 フィットだけではない。秋にはN-ONEの新型が登場するし、同じ頃に登場すると言われているホンダeも素晴らしい。まさしく実りの秋。「俺たちのホンダ」が復活する秋なのだ。

■女の子に乗って欲しいクルマの上位に躍り出た

ファミリーカーとしては優秀だが、走りはけっこう平凡な印象? 気を遣わなくていいのはありがたいのだが……
ファミリーカーとしては優秀だが、走りはけっこう平凡な印象? 気を遣わなくていいのはありがたいのだが……

 新型フィットは柴犬をイメージして開発されたという話を聞いたが、そのコンセプトがまず素晴らしい。

 デザインが柴犬に似ているのではなく、「我が家のペットのように愛せるクルマ」を目指したということ。これからのファミリーカーにとって大切な要素だ。

 外観も内装も親しみやすいデザインで、特にCVTのシフトが前後に動く誤作動の少ないタイプとしていることに好感が持てる。

 最近はパソコンのマウスのようなシフトが多く、D(ドライブ)もR(リバース)もN(ニュートラル)も、すべて真ん中に戻ってきてしまうタイプもある。そんなものは誤作動してくれと言っているようなものだ。

 メーカーは格好いいと思ってやっているのだろうが大間違いで、シフトレバーは使いやすくてわかりやすいのが一番に決まっている。

 とはいえ、ホンダとしても過去に戻るのは勇気が必要だったと思うが、それをやってのけたところに変化を感じるし、フィットは親しみやすさを本気で追求していることがわかる。

シフトレバーを前後に動かすシンプルなタイプに戻したのは英断だ。誤操作が減るだろう
シフトレバーを前後に動かすシンプルなタイプに戻したのは英断だ。誤操作が減るだろう

 とまぁ、今回は新型フィットを誉めまくりの私だが、残念なところもいくつかある。一番の残念ポイントは後ろ姿で、あまりにも普通。

 正面と斜め前はいいのに、なぜかそこだけこだわりがないように見えてしまう。「日本の大衆車はテールランプが大きい」という謎のルールからフィットも逃れられていないのだ。

 ホンダeは後ろのデザインも素晴らしいのに、なぜフィットはこうなってしまったのだろうか?

親しみやすいデザインも素晴らしいが、リアはちょっと特徴がない気もする
親しみやすいデザインも素晴らしいが、リアはちょっと特徴がない気もする

 また、走りも普通であまり特徴がない。今回の試乗車はハイブリッドだったが、走り出してすぐに「新型コロナウイルスで、世界はこれからどうなるのだろうか?」とクルマと関係ないことを考え始めてしまった。

 運転中にクルマと関係ないことを考えてしまうのは退屈な証拠だ。この時期、誰だって新型コロナウイルスのことを考えるのはあたりまえかもしれないが、それとこれは話が別。

 どんな時だって、走りが楽しいクルマに乗っているとクルマに集中するものだ。フィットにはそれがなかった。

 それだけ運転しやすいということで、ファミリーカーとしてはいいことなのだろうが、もうちょっと特徴がほしい。私は中古車には甘いが、新車には厳しい男なのだ。

 結論として、新型フィットは女の子に乗ってほしいクルマだと思った。

「ボーイフレンドに迎えにきてほしいクルマ」というアンケートを雑誌などでよく見るが、その逆も当然あるわけで、ちょっとフランス車の香りもする新型フィットで迎えにきてくれる女の子はとても魅力的に映るだろう。

 実は、新型フィットの本質はそこにあるのだ。この件、異論はあるかもしれないが、受けつけない(笑)。

●テリー伊藤 今回のつぶやき

「柴犬のように家族に愛されるクルマを目指した」という話を聞いて、納得。理想的なファミリーカーになっている!

(写真、内容はすべてベストカー本誌掲載時のものです)

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