100年先を見据えて大規模リニューアルが進行中の首都高速。「日本橋区間が地下化するだけだろ」なんて考えてたら甘い! 都心環状線はルートがガラッと変わりクネクネになるのだ!
※本稿は2024年6月のものです
文:角田伸幸/イラスト:小倉隆典/写真:Google、AdobeStock、ベストカー編集部 ほか(トップ画像=竹澤宏@AdobeStock)
初出:『ベストカー』2024年7月26日号
■都心環状線61年目の大改修に着手!
1963年12月に開通し、今年(2024年)で61年目を迎える首都高速道路・都心環状線(C1)。
あちこちに生じた老朽箇所を直すとともに、100年先まで使える技術を織り込もうと、現在は大規模更新・大規模修繕が進んでいる。
このリニューアルについては、「日本橋の高架部分が地下化されて空が見えるようになる」って話題だけが先行しているが、それはどちらかというと重箱の隅のお話。
むしろ重要なのは、都心環状線のルートが変わること。北東部分にあたる江戸橋ジャンクション付近が、都心環状線のルートからまるまる「消える」のだ。
都心環状線の外回りを、竹橋ジャンクションから銀座方向へ走っていると思ってほしい。
現在は神田橋ジャンクションを直進し、江戸橋から京橋へと走るが、リニューアル後はこのルートが単なる箱崎ジャンクションへの連絡路となり、銀座方向へは行けなくなってしまうのだ(上のマップ参照)。
なぜか。ここはまさに「日本橋の地下化」区間だが、この地下区間から道路を持ち上げて江戸橋ジャンクションに接続するには、設計基準を超える急勾配を作らなくてはならない。
そこで新しい計画では、日本橋の地下を通った道はじわじわと持ち上がるものの、江戸橋ジャンクション付近でようやく地表へ出る。
とはいえ江戸橋ジャンクションには届かないから、そのまま高度を稼いで、その先の6号三郷線に接続する。
その結果、この道は銀座方向へは分岐が間に合わず、箱崎ジャンクション(6号、7号、9号)への連絡路となるわけだ。
では都心環状線はどうなるのか。こちらは手前の神田橋ジャンクションから分岐して地下に潜る八重洲線が本線となる。
現在の八重洲線は東京駅東側の地下を走った後、西銀座で浮上してKK線(会社線)に接続するが、KK線はすでに将来の廃止が決定している(なんと空中遊歩道となる!)。
KK線を活用すべく複数車線化しようとしても、橋脚建設のための用地確保がすでに不可能なためだ。
そこで新たな都心環状線はKK線手前で左に90度曲がり、そのまま地下を走って京橋ジャンクション付近で既存のC1に接続する。
この間には新たに「新京橋連結路」という全長800mのトンネルが掘られる予定だが、このトンネルが京橋の「白魚橋料金所」付近で右に曲がり、現在半地下の京橋~銀座区間に合流するのだ(京橋連結路から江戸橋ジャンクション方面に北上することはできない)。
この八重洲トンネルから京橋連結路を繋ぐ地下区間は、従来の高架橋よりも路肩を広くできるという。その結果クルマの走行性が高まるほか、万一の際の緊急車両の通行なども容易になるだろう。
新しい都心環状線だが、すべて完成するのは2040年頃と見られている。この頃には、湾岸線から分岐した晴海線の延伸工事も進み、銀座の采女橋付近で都心環状線に接続するものと思われる。
東京の風景は再び大きく変わるはずだが、都心のドライブがより安全で、快適なものになることを願いたい。
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