■実用性もアリ! いいクルマじゃないのカプチーノ!
さーて!いよいよ注目の走りだ。この点に関してはビートよりはるかに期待できる。やっぱりエンジンがまるで違う。ビートもカタログ上では64馬力ながら、レッドゾーン直前まで回さないとこの馬力は出ない。
カプチーノはターボエンジンということもあって4000回転で最大トルクが出てしまうのだ。ちょっと乗った感じではスタートでクラッチミートした瞬間からビートの倍くらいのパンチを持つ。
さらにギアレシオにもゆとりがある。ビートは5速、80km/hで4000回転も回るが、カプチーノは3000回転少々。開発スタッフの話では高速クルージング時は圧倒的に静かで、燃費も良好という。
ビートが近所の足だとすれば、カプチーノは小さな乗用車の実用性能を持っているといっていい。凝ったのはサスペンション。
アルトやセルボのサスを流用せず、カプチーノのためだけに開発したダブルウィッシュボーンを採用している。
たっぷり試乗してみないとハッキリしたことはいえないが、スズキはどうやら本気で小さなスポーツカーを作ろうと考えたのかもしれない。とりあえず大きく違うのは直進性。
ビートはストラットサスということもあって、路面の凹凸を走るとタイヤのアライメント変化が強烈に大きい。
結果、直進中でもタイヤが勝手に4WSしてしまい、まっすぐ走らないのである(高速道路を走ったことのあるビートのユーザーなら思い当たるでしょ?)
カプチーノのダブルウィッシュボーンはアライメントが小さく、1500ccクラスと同等のスタビリティがありそう。なんだか思いきり攻めるのが楽しみになってきた。
■楽しめ!! ライトな味わい!! ワインディングロード編
ライバルのビートとともにワインディングロード筑波サーキット、谷田部、を走らせてみた。
思いきり高いサイドシルをまたいでバケットシートに座り、短いシフトストロークを持つギアを1速にほうり込んでクラッチをミートした、と思ってほしい。するとこれが元気なのである。
走りだした瞬間から「軽自動車じゃないみたいなフィール」といっていいかもしれない。ライバルであるビートは低速トルクが小さいためか、走りだすとき「軽自動車ね」と感じる。
ところがカプチーノはしっかリトルクが出ており、グイッと前に出ていこうとするのだ。これはターボとノンターボではトルク特性がまるで違うため。
ビートもカタログ上では64馬力ながら、3000回転でクラッチミートしたときのパワーは20馬力程度しかない。対してカプチーノはターボエンジンということもあって、同じ回転数で35馬力を発生。
こいつは1500ccくらいの排気量を持つクルマと同等のパワーウェイトレシオといってよかろう。そのせいか、軽自動車が共通して持っている「安っぽさ」や「頼りなさ」がまったくないのがすごい。
絶対的なパワーも「けっこうスポーティね!」と思えるくらいあって、80km/h以下のワインディングロードならユーノスロードスターよリキビキビ走る感じ。
ビートとは比べものにならないくらい速い(筑波と谷田部でハッキリした)
日本の狭い道路にはジャストフィットのサイズ&パワーではなかろうか。足回りも想像以上によく煮詰められている。
スズキはハンドリングのいいFRを作った実績がないため、正直いって「どうせたいしたことはないだろう」とナメていた。ところがどっこいで、こいつが楽しい、楽しい、楽しい、なのだ!
なにしろカプチーノはよく曲がる。デキの悪いFRだと、コーナーに入るときにアンダーステア(特にフロントがストラットのクルマはロールアンダーステア)が出る。
そしてアクセルを開けると急激なオーバーステアになるが、カプチーノはとても素直。理由は簡単。
カプチーノはコスト高を覚悟でWウイッシュボーンというサスペンション形式にしているのだが、その効果がしっかり表われ、急激なアンダーステアやオーバーステアが出にくい性格に仕上がっている。
個人的な好みからいえば、低速のコーナーでも少しアンダーが弱いほうがいいけど、ノーマルでも充分楽しめるだろう。軽自動車には珍しく、テールが流れた後の修正も楽チン。これでオプションのLSDを装着すればホントに楽しいと思う。
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