ハイブリッドやPHV、FCVは給電能力が高い
前述のエスティマハイブリッドは標準で1500Wまで給電することが可能だ。これは家電としては大電流が必要な炊飯器やドライヤーなども使うことができる。
エアコンと冷蔵庫を同時に駆動することも可能だし、冷蔵庫は扉の開閉を控えれば1日に数回冷やせば冷気を維持出来るので、夜間は照明やTVなどに給電することもできる。
アルファード&ヴェルファイアハイブリッドやプリウスPHVにも同様の給電機能が上級グレードには標準装備されており、30/50プリウス、プリウスアルファにはオプションで装着することができる。
SAIやハリアーハイブリッド、シエンタハイブリッド、 ノア/ヴォクシー/エスクァイアハイブリッド 、オデッセイハイブリッドなども同様で、三菱のアウトランダーPHEV(初期はオプションだった)も同じく1500Wまで使える交流コンセントが用意されている。
問題はEVだ。EVには、外部から充電するためのソケットがあるが、そこから電気を取り出すのは単なる自宅コンセントからの充電を行なうコードのようなものではなく、電圧や電流を管理できるパワーコンディショナーを介さなくてはならない。
これは60万円くらいするため(補助金によって、EVを家庭用蓄電池として積極利用する人でなければなかなか手を出しにくいものだ。
しかし昨今の自然災害の頻発ぶりを考えると、太陽光発電と組み合せて電力を自給自足できる環境にしておくのも選択肢の一つだろう。
なにしろ、EVの蓄電池としての能力は相当なもので、モデルハウスのような大きな一戸建てで普通に使っても2日間、節電しながら大事に使えば一戸建ての電力を1週間近くも供給できる。もちろん季節や気温、EVのバッテリー搭載量によって実際には上下する。
また蓄電池として電力供給したら、なんらかの手段でEVを充電しなければならないので太陽光パネルを設置していない場合は、停電状態では自宅では充電できないから、充電するために移動できる分の電力はバッテリーに残しておく必要がある。
走行していなくても蓄電池として利用すればバッテリーの充放電サイクルは進んで劣化していくので、その後の航続距離が短くなってしまうことにも注意が必要だ。
トヨタミライやホンダクラリティFCVといった燃料電池車の場合は消費する電力を常に水素と酸素から作り出すので、燃料の水素さえあれば連続的に安定した電力を供給できる。
水素の供給面では不便な環境ではあるが、1回のタンク充填で700kmもの航続距離を誇るFCVなら、相当長期間、家庭用電源として給電させることも不可能ではなさそうだ。
エンジン車でも工夫次第で電力供給は可能
さらにハイブリッドではない普通のエンジン車でも、交流100Vを給電できるクルマもある。トヨタのプロボックスやハイエースにはコンセントが設定(ハイエースバンはオプション装備)されている。
これは12Vの直流電流を、交流100Vに変換できるインバーターを内蔵しているからだが、その出力は100Wと、本格的な家電製品が使えるものではない。
移動中にノートPCや携帯電話、業務用の電子機器などを充電するためのものとして用意されているのだろう。
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