スズキの新たな世界戦略車、新型SUVフロンクス。そのプロトタイプに早くも試乗。日本市場のために4WDも用意するなど、スズキの気合が感じられるこのモデル。はたしてそのデキバエを全力インプレッション!!
※本稿は2024年7月のものです
文:鈴木直也/写真:奥隅圭之
初出:『ベストカー』2024年8月26日号
■スズキも海外生産モデルを日本投入!
最近のコンパクトSUVで流行っているのが、海外生産モデルの日本投入。フロンクスもその流れに乗ったインド生産モデルだ。
インドはスズキにとって最重要地域。そこで作られるフロンクスは、日本はもちろん、中南米、中近東、アフリカで販売し、インド市場ではシェア5割奪回を目指す重要な世界戦略車。そのために、グジャラート州の工場は大幅に生産能力を拡大するなど、大きな投資も行っている。
このスズキの期待の大きさ、そしてチカラの入れ具合は、クルマにハッキリと反映されている。実車に対面してまず感じるのは、SUVながらスマートなクーペフォルムのカッコよさだ。
スズキはデザイン面では評価の高いメーカーだが、新興国をメイン市場としながらクーペフォルムの都会派デザインに振った決断は興味深い。
ユーザーの好みが大きく変化しているのは、先進国よりもむしろ新興国。新鮮さが素直に伝わってくる。また、内装はキラキラ感を表現しようとするとコストのかかる部分だが、ここも機能・質感ともにかなり頑張っている印象だ。
そして、驚いたのは走りのクォリティが予想以上に高水準なこと。
■一度乗ればわかる高い「イイもの感」
まずは、コンパクトSUVとしては乗り心地がしっとり上質なところに「オッ!」と感心したのだが、走り込むにつれて静粛性もこのクラスとしてかなり出色なことに気づく。これは後席でも同様で、ロングドライブでの疲労軽減にも大きく貢献してくれそうだ。
エンジンはスイフトで新開発された3気筒ではなく、4気筒1.5Lにマイルドハイブリッドが組み合わされたものだが、ミッションが6速ステップATゆえ、CVTとは異なるドライバビリティが新鮮。これも質感という意味ではプラスのポイントだ。
また、運動性能についても上々。テストコースで振り回してもほとんど指摘すべき欠点はなく、操舵フィールやロールのチューニングなどは同クラスのライバルと同等か、むしろ上質。
きつめのコーナーでステアリングを切り増すような操作をしても、素直にフロントがインを向こうとするなど、ドライバーの意思にかなり忠実にクルマが反応する。要するに、乗った時の「イイもの感」が、このセグメントとしてはとても高いのだ。
スイフトに続く登録車の大黒柱に育てる。そんな期待が込められたスズキ渾身のニューモデルと言っていいと思います。
●このクルマのPOINT
・個性を主張しながらSUVらしい力強さを感じさせるエクステリア
・1.5L・NA+マイルドハイブリッド。組み合わされるミッションは6AT
・後席は広々。乗り心地も優秀
・2024年秋発売
●スズキ フロンクス 主要諸元(※バーレーン仕様)
・全長×全幅×全高:3995×1765×1550mm
・ホイールベース:2520mm
・最低地上高:170mm
・車両重量:1035kg~
・パワーユニット:直4・1462cc+モーター
・エンジン最高出力:103ps/6000rpm
・エンジン最大トルク:13.9kgm/4400rpm
・トランスミッション:6AT
・最小回転半径:4.8m
コメント
コメントの使い方展示されてたので見てきました。
気になった点ですが、ルーフライニングの毛質が
他のスズキ車と違っていました。
普段のサラサラ系ではなくモフモフ系でしたが、
日本とインドの違いですかね?