ビッグマイチェンでオラオラ顔になったディーゼルモデルが全体の90%
2019年2月にマイナーチェンジを受けたのは、直列4気筒2.2Lクリーンディーゼルターボ車のみであった。2Lと2.4Lのガソリンエンジン車は、ほとんど変更を受けずに従来型を継続生産している。
三菱によると「現時点で新車として売られるデリカD:5の約90%は、クリーンディーゼルで占められる」とのことだから、従来型の顔付きから変更を受けていないガソリンエンジン車はほとんど売れていないということになる。
クリーンディーゼルを主力にするデリカD:5 の売れ行きが伸びたことで、三菱はディーゼル乗用車の販売ランキングでも上位に位置する。
2019年1~6月の1か月平均で見ると、ディーゼル乗用車の1位はマツダ(5586台)で、2位が三菱(2072台)、3位がトヨタ(1172台)であった。
デビューから12年で大幅に売れ行きを伸ばしたのは異例?
それにしてもデリカD:5 は、なぜ発売から12年も経過してマイナーチェンジを行いながら、売れ行きを大幅に伸ばせたのか。マイナーチェンジの内容から、その理由を探りたい。
まずは存在感の強いフロントマスクがある。今の三菱車に共通する「ダイナミックシールド」の考え方に基づき、縦方向にLEDヘッドランプを配置した。アルファードやヴェルファイアに似た手法ともいえるが、印象は異なる。
アルファード&ヴェルファイアは、前方を走る車両を蹴散らすような怖さを感じさせるが、 デリカD:5は我が道を行く個性が強い。怖さとは少し違う。
装備については、従来は用意されなかった緊急自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)を採用した。
歩行者と車両を検知するから安心感が高い。このシステムを使って、車間距離を自動制御するクルーズコントロールも備わり、長距離移動時の快適性も向上させた。
クリーンディーゼルターボエンジンは、設計を刷新させている。尿素水溶液を使うことで、窒素酸化物の浄化性能を高めた。
エンジンの回転感覚も洗練され、ATは従来の6速から8速に多段化されたから、動力性能と実用燃費が総合的に向上した。
さらにショックアブソーバーのサイズを拡大するなどサスペンションにも改良を加え、電動パワーステアリングも新設計している。この効果で操舵感が正確になり、走行安定性と乗り心地も良くなった。
遮音や防音性能も高められ、ディーゼル特有のエンジンノイズ、タイヤが転がる時に発する騒音も低減されている。このように従来型の欠点を解消させるマイナーチェンジにより、 デリカD:5は商品力を高めて好調に売れている。
販売店からは別の意見も聞かれる。「デリカD:5 は、基本設計は古いが、SUV的な機能を備えたミニバンだから個性が強い。ファンも多く、中古車市場でも人気が高いから、高額で買い取られる。
このような優れたリセールバリューもあり、 デリカD:5では、以前から定期的に新車に乗り替えるお客様が多かった。マイナーチェンジを受けたことで、従来型デリカD:5からの乗り替えがさらに進み、売れ行きを伸ばしている」とのことだ。
そこでデリカD:5の残価設定ローンをチェックすると、マイナーチェンジを受けたクリーンディーゼルターボは、3年後の残価が新車価格の54%に達する。
一般的な3年後の残価は43~50%だから、デリカD:5 は明らかに高い。販売促進のために敢えて高く設定した事情もあるが、不人気車で3年後を54%まで高めるのは不可能だ。
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