■進化版はスーパーチャージャーを搭載!
第2弾は2012年に発表されたiQ GRMNスーパーチャージャーだ。ちなみに成瀬氏は2010年にニュル近郊での事故で亡くなってしまったが、2010年の東京オートサロンにプロトタイプが展示されていたので、成瀬氏もこの開発に関わっていたのは言うまでもない(最後の仕上げはモリゾウさん⁉)。
このモデルは前モデルよりもモディファイ内容は大きく、1.3Lエンジンにスーパーチャージャーがプラスされた122ps/17.7㎏m(ノーマルは94ps/12.0kgm)を発生。6速MTはギア比がクロスされるだけでなくファイナルもローギアード化。
車体はスポット増しやブレースの追加に加えて、YAMAHA製パフォーマンスダンパーも装着。フットワークはサスペ30mmローダウンされた専用サスペンションと16インチタイヤ&エンケイ製アルミホイールが組み合わせ。ブレーキもスリットローター+専用パッドの採用と抜かりなし。
見た目の部分にも大きく手が入っており、エクステリアは前後バンパーやフェンダー、ドア、ピラー、ヘッドライトに至るまで専用品。インテリアは赤黒のコーディネイトでトヨタ紡織性のスポーツシートを採用。
発売台数は前回同様に100台。価格は355万とベース車から価格アップは大きかったが、ネットでの予約受付開始と同時に問い合わせが殺到、発売されると瞬殺で完売した。
筆者はこのモデルにも試乗した事があるが、その走りを一言で表現すると「刺激的だけどバランスの取れた乗り味」で、スポーツカー好き/運転好きの日常をカバーするにはピッタリなモデルだと感じた。
■アストンマーティン版も登場!
iQに目を付けた人は成瀬氏だけではなかった。それはイギリスのアストンマーティンである。それは2011年にiQをベースに開発されたシグネットだ。
このクルマが生まれたキッカケは、何とニュルブルクリンクのパドック。実は元祖GAZOO Racingが2007年に初めてニュル24時間に参戦した時、偶然同じピットだったのがアストンマーティンだった。そこから交流が始まった事がキッカケで、提携に至ったそうだ。ビジネス的に見ると、トヨタ側「iQを拡販したい」、アストンマーティン側は「環境性能に優れる小型車が欲しい」と言う両車の考えが見事に合致した……と言うわけだ。
基本骨格はiQと共通だが、外販パネルは全て専用デザインで、随所に上級モデルと同じアイデンティティをプラス。インテリアも同様にインパネ、メーター、シート、ルーフパネル、ドアなどなど全ての部位が専用仕立てで、本革/アルカンターラ/アルミなどをふんだんに用いてアストンマーティン流にリフォーム。コンパクトカーでよく見かける樹脂パーツは皆無である。
1.3L+CVTのパワートレインは変更ないものの、内装の高級化や遮音材追加などで車両重量はiQの40㎏増し。フットワークは専用デザインのアルミホイール以外は変更ないと言うアナウンスだったが、実際に乗り比べるとiQよりも引き締められた印象でスポーティな乗り味だった。恐らくエンジンマウントやブッシュなど独自の最適化が行なわれていたのかもしれない。
製作はトヨタの高岡工場で生産されたベース車をイギリスに送り、ケイドンにあるアストンマーティン本社ファクトリーで150時間かけて行なっていたそうだ。
日本でも発売され、価格は6速MTが475万円、CVTが490万円。ただ、これはベースの価格であり、様々なオプションを選択していくと500~600万円くらいだった。
アストンマーティンは既存ユーザーのセカンドカー/サードカー需要だけでなく、新規ユーザーの獲得も狙い、販売目標は4000台/年だったが、結果的には約2年で150台のみとビジネスとしては失敗に終わった。希少車が故、現在は新車時の倍以上のプレミアムプライスなのは、何とも皮肉な話だ……。
コメント
コメントの使い方まず元のiQが車として素晴らしく、楽しい。1L版は振動だけネックでしたが、1.3Lグレは完成度高いです
シティユースだけでなく、各地の峠や山中の観光地に行くにも最適で、普通の車だったらそういう狭い道ではスイスイ走っていくバイクが羨ましくなりますが
iQだと逆に、霧でも朝露滴る中でも気にならず、軽快さでも回転半径でも立上がりでも負けないので、優越感すらある。そんな車が走り特化したら、そりゃ最高ですよ