2019年は、一定の条件下ではあるものの、ついにドライバーが「ステアリングホイールから手を放した」年となりました。
今後さらなる技術革新が期待される自動運転ではありますが、ステアリングホイールが不要となる時代は、まだまだ先のようです。
このステアリングホイールは、メーカーごとに太さや外径、デザインなどが異なり、同一メーカー内でも車種ごとに専用設計がされるほど、こだわりを持って作られています。
また、ユーザー側も好みによって、ステアリングホイールへカバーを付けたり、ステアリング自体を交換している方も少なくはありません。このようなステアリングホイールの違いは、運転にどのような影響をもたらすのでしょうか。
文:吉川賢一、写真: 池之平昌信 、スバル、マツダ、日産
ステアリングホイールの径が大きくなると、運転はどうなる?
まず、クルマのステアリング装置を簡単に説明します。ステアリングホイールを周方向に力をかけて回すと、ステアリングシャフト(軸)に回転トルクが伝わります。
そのトルクがステアリングギアボックスを介して、横方向の力に変わり、この力によりタイロッドが動かされることで、タイヤの角度が変わります。
このとき、タイヤには、元の向きに戻ろうとするトルク(セルフアライニングトルク)がかかりますので、回す力に応じた操舵反力が、回す腕に戻ってきます。これを「手応え」と呼んでいます。
この、ステアリングホイールを回す力の伝達には、「テコの原理」が利用されています。
そのため、腕の長さにあたるステアリングホイールの外径が大きくなると、軸を回転させる力が小さくて済みますので、軽い力でステアリングホイールを回すことができますが、回す角度が増えるため、腕の動作は多くなります。
逆に、ステアリングホイール外径が小さいほど、軸を回転させるトルクが小さくなるため、交差点を曲がる時や駐車場などでは、腕を動かす量は少なく済みますが、ステアリングホイールを回すのに必要な力は大きくなります。
最小の動作でクルマが反応するのでスポーティになったように感じますが、ステアリングは重たくなります。
この変化も「スポーティだ」と受け取る方もいるようですが、駐車場での切り返しシーンの重たさに、後悔する方も多いようです。
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