クルマを選ぶ尺度は人それぞれ。走りが大切な人もいれば、快適性が大事な人もいる。しかし誰もが軽視できないのが安全性ではないだろうか? 自分だけではなく、大切な友人や家族も乗るクルマならなおさらのことだろう。
しかし、安全性の高いクルマ選びというとどうしても「またあのクルマだろう」という感じもしていないだろうか。そこで今回は軽自動車からSUV、ミニバンまで各ジャンルの安全性で選ぶクルマ選びをしてみた。
文:渡辺陽一郎/写真:平野学、池之平昌信
■軽自動車はN-BOXが安全性でトップクラス
新車を買うメリットはいろいろあるが、ユーザーの関心が最も高いのは、最先端の安全性が得られることだろう。
加速性能などはすでに十分な水準に達して、20年くらい前からほとんど進歩していないが、安全性は大幅に向上した。例えば1998年10月には、軽自動車の規格が刷新され、ボディが現在と同じサイズに拡大されている。
この時には16車種もの新型車がほぼ同時期に登場して未曾有のニューモデルラッシュになったが、安全装備は4輪ABSがオプション設定される程度だった。
それが20年後の今では4輪ABSの装着がすべての車種に義務化され、軽乗用車については、横滑り防止装置も義務化された。
車種によってはサイド&カーテンエアバッグの装着も可能で、歩行者も検知する緊急自動ブレーキを備えた軽乗用車が急増している。そして安全装備が先進的な車種は、軽自動車に限らず機能が幅広く進化しているから、満足度の高いクルマ選びが行える。
これらの点を踏まえて、安全を優先させたクルマ選びを考えてみたい。ターゲットユーザーはファミリー層とした。価格が400万円以下の国産乗用車で、同乗者への安全性が高い車種を各カテゴリーから選んでいる。
【軽自動車:ホンダN-BOX】(推奨グレード:標準ボディのG・Lターボホンダセンシング/169万5600円)
軽自動車は価格が最も安いカテゴリーとあって、以前は安全装備が最も遅れていたが、今はコンパクトカーよりもむしろ充実している。軽自動車は税金が安く、小さなボディで運転がしやすい。
もともと日本の使用環境に合っていて、1998年の規格改訂以降に発売された車種は、室内空間が広がって燃費も向上した。実用性を高めて人気を得たから、今では新車として売られるクルマの35%以上を軽自動車が占める。
そして高齢ドライバーが加害者になる交通事故が増えたこともあって、ユーザーの関心が安全性に集まり、軽自動車はボディサイズなどが全車でほぼ共通化されているから競争が激しい。
競い合うように安全性を高め、冒頭でも触れたように緊急自動ブレーキを急速に充実させた。
唯一心配なのは、全幅が1475mmという狭いボディによる側面衝突の対応だ。そこでサイド&カーテンエアバッグを装着したいが、設定のない車種もあるから注意を要する。
軽自動車の推奨車種はホンダN-BOXだ。すべてのグレードに安全装備のホンダセンシングを標準装着した。
センサーには上級車種と同じくミリ波レーダーと単眼カメラが使われ、歩行者も検知して緊急自動ブレーキを作動させる。
路側帯の歩行者に衝突しそうな時は、電動パワーステアリングも支援して、ハンドル操作による危険回避をうながす。さらに軽自動車でありながら、車間距離を自動制御できるクルーズコントロールも採用した。
作動中はドライバーのペダル操作が軽減される。パワーステアリングの操作を支援する車線維持支援システムも採用したから、長距離を移動する時も快適だ。そうなればドライバーの疲労が抑えられ、事故防止に繋がる。
N-BOXの推奨グレードは、標準ボディのG・Lターボホンダセンシングだ(価格は169万5600円)。
自然吸気のノーマルエンジン車では、3~4名で乗車すると動力性能が不足しやすいが、ターボであれば最大トルクが160%の10.6kg-m(2600回転)に達する。
運転感覚は自然吸気の1Lエンジンに近いから力不足を感じにくい。しかもJC08モード燃費は25.6km/lで、自然吸気の95%に達する。動力性能を160%まで高めながら、燃費数値は約5%しか悪化しない。
価格はターボを装着しないG・Lホンダセンシングに比べて19万6560円高いが、ターボには同乗者を守るサイド&カーテンエアバッグ(オプション価格は4万3200円)、右側スライドドアの電動機能(5万4000円)など、15万円相当の装備が加わる。
そうなると効率の優れたターボが5万円弱で装着される計算が成り立つ。N-BOXのターボ車は、同乗者を含めた安全性と走行性能の優れた買い得グレードでもあるわけだ。
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