■まとめ
快適に遠くまで移動するための“最適なシート“は、自動運転がレベル4やレベル5に移行する時代になると、また変わっていくだろう。クルマのシートは今後、どのように進化していくのか、元メーカーの”乗り心地設計屋“としては、非常に楽しみである。
■【まだあるシートのあれこれ話】メーカーはシート開発を丸投げしているって本当?
「シート開発はサプライヤに丸投げしている!」と指摘する記事がよくあるが、それは半分間違っている。
生産ラインへ納品するシート製作はシートサプライヤだが、シートの設計仕様を提示するのは自動車メーカーだ。元自動車メーカーエンジニアである筆者の経験の範囲では、完全に丸投げしたという事例は聞いたことがないし、シートに対する設計思想がないと、クルマのコンセプトからかけ離れた“ちぐはぐな”シートになりかねない。
実際には、シートサプライヤの社員が自動車メーカーの社内で、メーカー社員と“座席を並べて”開発していることが多い。シート開発は、自動車メーカーとシートサプライヤとの協業によって行われているが、決して“丸投げ”などはしていない。
■シート開発の裏事情
実は意外と知られていない事情として、ひとつの自動車メーカーで2,3種のシートフレームを使いまわししていることがある。高級セダンとミニバンの基本となるフレーム構造が同じだったという事例もある。共用化によるコスト低減が目的だが、その時代のあらゆる基準を満たした「BESTなシートフレーム」を開発し水平展開している。ただし、より厳しい基準に合わせる上位互換が必須なので、性能には申し分ない。
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