D型や楕円型、上下端がない飛行機の操縦桿のような形状など、多様な形状をしている昨今のクルマのステアリングホイール。形状だけでなくその太さも変わってきており、以前と比較して、2倍くらいはあるんではないかというくらい、昨今のステアリングホイールのグリップは太くなってきている。なぜステアリングホイールは太くなったのか。そしてそもそも、ステアリングホイールは細いほうがいいのか、太いほうがいいのか!??
文:吉川賢一/写真:TOYOTA、HONDA、NISSAN、MITSUBISHI、Mercedes-BENZ、BMW
【画像ギャラリー】クルマによってこんなに違う!! 最近登場したクルマのステアリングホイール(13枚)画像ギャラリー軽やコンパクトカーも含め、全体的に太いグリップへとシフトしてきている
軽自動車やコンパクトカーでは比較的細めのグリップが多く、スポーツタイプのクルマには太めのグリップとなっていることが多いクルマのステアリングホイール。同一車種でも、ノーマルグレードとスポーツグレードとで、ステアリングホイールの径やグリップの太さなどが違うものもある。
また、メーカーによってもグリップ太さの特徴は若干あり、たとえば、トヨタや日産、ホンダのベーシックなクルマは中間的な太さをしているが、マツダは「馬に乗ったときの手綱を引く」イメージにコクピット周りを近づけているそうで、比較的細めのグリップだ。
ただ、昨今はその全体が、太めのグリップへシフトしてきている。(太さではなく)ステアリングホイールの直径については、パワーアシストが同じならば、テコの原理によって、直径が大きいほど軽い力で回すことができ、小径になると操舵力は重たくなる。また、ギア比が同じならばタイヤの向きを変えるための動作は、直径が大きいほど増え、直径が小さいと、わずかな動作で回すことができるが、グリップの太さに関しては、太さによってステアリングホイールを回す力に明らかに違いがでる、というわけではない。
人間工学の成熟によって、ある程度の太さがあったほうがいいことがわかってきた
グリップが太くなってきている理由のひとつは、人間の手の開き方に関する人間工学の研究が成熟したことで、握りこむことなくステアリングホイールを回すには、ある程度の太さが必要だとわかってきたためだ。握ってしまうと自然と力がはいってしまうため、力をいれずにステアリングホイールを回すことができる太さを求めた結果、ある程度の太さが必要だとわかってきたのだ。
またもうひとつの理由が、ステアリングホイールに機能操作スイッチやバイブレーション機能、ヒーター機能などの装置が仕込まれることが増え、かつてのような細めのグリップのステアリングホイールをつくることが物理的にできなくなってきたためだ。最近のクルマに搭載されているADASは漫然運転になりやすいため、ステアリングホイールの振動でドライバーを覚醒させるバイブレーション機能はもはや必須、またBEVではエアコンのスイッチをいれると航続距離がガクッと減るため、冬場でもステアリングホイールのヒーターでしのぐことも少なくない。これらの機能をステアリングホイールに持たせるためには、かつてのような細いステアリングホイールでは成り立たないのだ。
こうした理由によって、昨今の自動車はどこも似たような、「やや太め」のグリップに落ち着いている。ちなみに、ここ40年の日本人の平均身長はほぼ変わっておらず、手や指のサイズも極端に変わったという記録はない。
コメント
コメントの使い方昔は木製ステアリングの名残りで細くなっていたのでは?現代はウレタンと革巻きの二択且つパワステエアバッグ標準装備なので、デザインや操舵性のバランスで太くなった感じ。
一つ前の車までは、太くする為にステアリングカバーを織り込んで装着していた。安いカバーだとスポーツ走行でズレるため。
しかし現愛車では最初から適度な太さがあり、そのままで利用している。そうか、人間工学に即していたのか