流行りのクロスオーバー真っ向勝負!! 新型XVとCX-30の一長一短
次はXVの「ハイブリッドアドバンス」を試乗した。
以前のXVは、2Lガソリンエンジンも用意したが、今は廃止されて2Lハイブリッドと1.6Lのみだ。背景には将来の燃費規制があり、ほかの車種も今後の2Lはハイブリッドに順次置き換えていく。
ハイブリッドのモーターは最高出力が13.6馬力と大人しいが、エンジン回転数が下がった状態では、駆動力を効果的に支援する。
乗り心地はマイナーチェンジを受けて少し柔軟になった。インプレッサに比べると少し硬めに感じるが、おおむね快適だ。
XVは最低地上高が200mmに達するから、悪路のデコボコを乗り越えやすい半面、峠道のカーブを曲がるとインプレッサに比べてボディの傾き方が少し大きい。それでも挙動の変化が穏やかに進むから不安はない。
マツダCX-30と比べると、居住性は、後席の足元空間の広いXVが快適だ。CX-30の後席はCX-3よりは広いが、マツダ3と同程度でXVよりは狭い。荷室容量は同程度だ。
XVの試乗車はハイブリッドの「アドバンス」(292万6000円)で、この価格に見合うCX-30は、2Lエンジンを搭載した「20Sプロアクティブツーリングセレクション」の4WD(297万円)になる。
低回転域の駆動力を比べると、モーター駆動の支援もあってXVに少し余裕があり、WLTCモード燃費はXVが15km/L、CX-30は14.8km/Lだ。XVはハイブリッドだが、燃費数値と価格はCX-30と同等になる。
走行安定性はユーザーの好みによって評価が変わる。XVは後輪の接地性が高く安心感を伴うが、峠道などでは若干曲がりにくい。その点でCX-30は、安定性は一歩譲るが、車両を内側へ向けやすい。ここは互角だろう。
乗り心地は両車ともに低速では少し硬く、速度が高まると快適になる。CX-30ではディーゼルよりも2Lが良好だ。開発者に尋ねると「マツダ3とCX-30のプラットフォームでは、ボディの軽い方が足まわりが柔軟に動く傾向にある」という。
「実用」のスバルと「情緒」のマツダ
以上のようにスバル インプレッサ&XVと、マツダ3&CX-30を比べると、機能的にはスバル車の優れた面が目立つ。走行安定性が高く、後席も広くて荷室は実用的だ。さまざまな機能をバランス良く向上させた。
一方、マツダ車は、実用よりも情緒を重視する。
マツダ3とCX-30のボディパネルは、一種のスクリーンで、周囲の風景が美しく映り込む。いわば走るシアターだ。安全に直結する走行安定性には力を入れたが、操舵した時の機敏な反応など、ドライバーと車両の一体感も重視している。
「マツダ車を買う」とブランドで選ばれるメーカーになるためには、マツダのやり方が近道かも知れない。ただし、多くのユーザーに理解を得やすいのはスバルだろう。
特に視界の優れたボディは安全性も高めるから、情緒で攻めるマツダよりも説得力が強い。
それにしてもスバルとマツダは、日本のメーカーでは規模が小さい部類に入るが、トヨタや日産とは違う分かりやすい特徴を備えている。
コメント
コメントの使い方