スズキらしい独創性で大ヒット!! 軽SUV「ハスラー」が新型にチェンジ。変わらないようで実は“ジムニー感”が増している、新型の妙味とは?
東京モーターショーで新型ハスラーのカタチを見て、期待を膨らませた人はとても多いんじゃないでしょうか。かくいう筆者も、「これはイイ! 初代ハスラーとジムニーのいいとこ取りじゃんか!」とビンビンに期待しておりました。
で、実際の新型ハスラーはというと、まさに期待を裏切らない出来。新たなニッポンの国民車になる素質すらある。
デザインに関しては、フロントフェイスだけを見ると、キープコンセプト過ぎて変わり映えがしないと思うかもしれないが、実は全然変わっている。似てるのは顔のつくりだけで、プロポーションは大きく違う。
文:清水草一
写真:池之平昌信
ベストカー 2020年3月10日号
【画像ギャラリー】よ~く見るとかなり違う!! 新型ハスラー 不易流行の妙味
新型ハスラーのデザインは4ドア版ジムニー!?
並べてみると、初代はいわゆる普通の乗用車的で、ボディのいたるところが曲面だった。
ところが新型はカクカクシカジカで真四角に近い。水平線と垂直線だらけ! 実際に定規を当てればちゃんとカーブはついてるんだけど、雰囲気としてはジムニーにかなり近く、ジムニーの4ドア版と言ってもいい雰囲気だ。
つまり、古典的なクロカン4WDのイメージが濃厚なのだ。設定されている2トーンのボディカラーも、わざとサイド後部に回り込ませて、ジープの幌みたいなイメージを出している。
デザイン担当者によれば、全体としては、「鉄板らしい力強さ」、「鉄板の厚みを感じさせる丸み」を狙ったんだそうです。
「ブリキの道具箱などを見ながらデザインしました」っていう話には感動しました……。やっぱりスズキのデザインは、目の付けどころが違うな。
「守るべきは守り新しさを出す」新型ハスラーの妙味
初代ハスラーも、出た時はちょうどいいアウトドア感だったけど、6年後の今は当時より、世間の本物志向が強まっている。
一般のランナーがオリンピック選手と同じシューズを履きたがって当然な時代じゃないですか。そういう本物志向の深まりを取り入れて、ハスラーもより道具としての本物感を訴求しようとしたわけですよ。つまりそれが、ジムニー的な本格派の雰囲気なんですね。
初代の顔のイメージに、この本物の道具感の合体は大成功だ。大ヒット車の2代目のデザインってのは難しいものだけど、守るべきところは守りつつ、みごとに新しさを出している。
こういう道具感って、日本人は大好きだよね。日本人は伝統的に、華やかなアートよりも虚飾を捨てた道具を愛する民族ですから。新型ハスラーのデザインは、そこにドンピシャとくる。
「安いけど安っぽくない」はラテン系を思わせる
インテリアも随所に道具感を散りばめている。インパネの“3つの輪っか”はその代表。ホント言うとこれ、かなりなんちゃってな感じですが、シートの素材や柄はスズキらしくセンス抜群。スズキって“イタリア・フランス車”的に、お金をかけないオシャレ感を出すのが得意なんだよね。
新型ハスラーは、先代に比べてホイールベースを35㎜拡大しているうえに、ウィンドウの傾斜がより垂直に近づいたので、室内は充分すぎるほど広い。かといってスペーシアみたいに天井が高すぎて落ち着かないこともなく、なんだかとっても居心地がいい(個人の感想です)。
外から見ると、新型ハスラーのタイヤの四隅感はまさに限界ギリギリ! こりゃ室内が広くなるわけだ。タイヤが隅っこに寄ったぶん、アプローチ&ディパーチャーアングルも改善していて、より悪路に強くなっているはずだ。(今回、悪路は走ってまいせんが)。
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